ワーママロールモデルを作り上げた罪悪感と、これからの「わたし」 | BuzzFeed Japan 小林明子さん

「人々の生活にポジティブなインパクトを生み出すこと」をミッションとして、その勢いを加速しているBuzzFeed Japan(以下、BuzzFeed)で記者・編集者として活躍している小林明子さんは、2児の子育てをしながら、#metoo やLGBTウィークなど、性別や肩書きに囚われない多様性に溢れた企画を発信し続けている。もとは全国紙の新聞記者からキャリアをスタートした小林さんが、結婚・出産を経てBuzzFeed に入社し、自分軸を持って発信を続ける原点とは。前編に続き、インタビューの後編は今後についても様々聞いています。

2ヶ月に一度のママ友飲み会で「わたし」と向き合う

小林明子さん | BuzzFeed Japan 1977年岡山県出身。2000年、毎日新聞社に入社。結婚・出産後フリーライターを経て2008年に朝日新聞出版に入社。週刊誌AERAの記者として、働き方や子育てのテーマを主に取材。2016年BuzzFeed Japanに入社。特集エディターとして「#metoo」「国際ガーズルデー」「LGBTウィーク」など様々な特集企画を実施。

ー小林さんは、「わたし」と向き合う時間をどのように作っていますか?ツイッターの投稿でママ友との夜の飲み会がリフレッシュになっていると拝見しました。

「賢母の会」とのネーミングで小学校のママ友の会を2ヶ月に1回ペースで開催しています(笑)。働いているママ5人で、子どもを寝かしつけた後の午後11時頃から、メイクも全部落とした状態で誰かの家で集まったり、近くの居酒屋やバーに行ってリフレッシュしています。

―ママ4人でどんな話をしているんですか?

もちろん、学校の持ち物どうする?といった話はゼロではないのですが、ママとしてどうこう、という会話よりも、自分が何をしたいか、何が好きか、とか、いま○○が楽しいとかそういう話が多いですね。子供のことも仕事のことも何も考えずに、ひたすら喋って飲んで帰って寝て、次の日は普通に働く、って感じを2ヶ月に1度やっています(笑)。

―夜のリフレッシュ時間は、小林さんの日常にどんな形で作用していますか?

すごく新鮮ですね。夜に1人で出かける機会が子育てをしているとめったにない中で、バーに行くと夜飲んでいる人が隣にいるっていう。産後、自分から離れていた世界は変わらず存在している、自分がその一員になれたっていうのを感じるだけで、かなりリフレッシュできていると思います。その時間があるとないでは、明日への活力が全く違いますね。

「子育ても仕事もしっかりやる」ロールモデルを作り上げた罪悪感

大学時代から、元大阪府知事のセクハラ問題の裁判傍聴に行くなど、ジェンダーへの関心は高かった。卒論テーマは「学内のセクハラ告発」について、先生や学生たちへのヒヤリングをしてまとめたという。

―子育てをしていると、「子どものため」「家族のため」という思いを優先するあまり、「わたし」の思いと向き合う機会をなかなか持てない女性が多いように感じますが、小林さんはどう見ていますか?

アエラの記者時代、共働き子育て女性の取材やアンケート調査をたくさんしてきて、その時にワーママのあるべき姿として「仕事も子育ても両方しっかりやる女性」をロールモデルとして発信してきました。その結果、自分時間を大切にすることに罪悪感を持たせてしまうような価値観を増長してしまったかもしれないことに負い目があって、そこを変えたい、という思いがすごく強いです。

私たちの世代は「共働き第一世代」とも言われています。 一つ上の世代、つまり男女雇用機会均等法の施行から間もない時期に入社した世代は、シッターさんをフル活用したり、両親を呼び寄せて男性と変わらず仕事に邁進するというようなモデルがあって、そうではない次のモデルを考える時に、「仕事も子育ても全部しっかりやる女性が素敵なんだ」といったロールモデルを積極的に発信してきましたね。

でも当時は、それが無理ゲーだっていうことに気づかずに発信してしまって。例えば、ワーキングマザーの1日のスケジュールを紹介する際にも、朝4時に起きて夜のごはんを仕込み、洗濯機回してその後に仕事行って6時にお迎えに走り、その後はしっかり子どもとの時間を取る、みたいなママ像です。色々しっかりやってはいるのですけど、どこにも自分の時間が無いんですよね。

周囲の子育て女性の話を聞いていると、子どもが生まれてから3年間一度も飲みに行ったことがありません、みたいなケースがざらにあります。私自身も「産前のわたしってどんなだったかな?」と思い出せないこともありますが、もう一度「わたし」を思い出す作業が必要だと思っています。

子どもたちの成長と共に色々なものを卒業していって、最終的に子育てから離れた時に自分はどうありたいんだろう、っていうのを今まで全然考えてこなかったことに、最近は、これじゃいけないなって思い始めています。

―小林さんご自身は、これからどんな「わたし」を歩んでいきたいですか。

長男が生後2ヶ月の時に、ファイナンシャルプランナーの試験会場にベビーシッターさんに来てもらい、休憩の合間に授乳しながらFP1級を合格したという小林さん。出産前後で「わたし」がどこに向かっていくのか、モヤモヤしていた時期があったといいます。

今は、仕事の量をこれ以上増やさず固定して、他の楽しみや自分のやりたいと思ったことのために、どうやって時間を作れるか、まさに挑戦している段階です。ワークライフバランスという言葉をよく耳にしますが、私は「ワークインライフ」という言い方をしていて、生活の中の一部にワークがあることで相乗効果があると思っています。ワークとライフを切り離して考えるよりは、どっちも上手く回していって両方良くなったら良いよね、と。

ワークの面では、20代から新聞、雑誌、WEBメディアと学んできたので、40代の後半から50代は本当に好きな仕事をしていきたいと思っています。

―本当に好きな仕事とは。

たぶん次に続く女性たちを応援するような発信かと。何か自分が発信し続けたみたいなものを本にまとめられるぐらいのもので、一つ生み出せればいいなって思います。

私自身のライフステージや子どもの成長によって興味関心も変わってきているので、5年後の自分の関心は、また今とは違うかもしれないな、とは思いますが、若い世代の人たちが生きやすい社会になるために発信を続けていけたらと思います。

(前編の記事はこちら

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