ロールモデルに囚われない型破りな私 File#03 多文化・多言語のコスモポリタン 羽倉綾乃

日本・ドイツ・イタリアの3カ国で子育てを経験する、マルチリンガルなマレキュール・ファウンダー羽倉綾乃さん。現在はミラノに住み、2人の息子たちはイタリア語を話すという。まだ子育てに手がかかる時期ではあるが、「私がやらなきゃ!」という熱い使命感で、今年、日本女性向けのファッションブランド「AYANOHAKURA」を立ち上げた。今回は、国際感覚バツグンの綾乃さんの原動力の源泉を、マレキュールのファウンダーメンバーでもある森田亜矢子が取材させてもらいました。

羽倉綾乃(1978年生まれ。8歳、3歳の男の子の母。)

「言語はスキルというより自分の多様性です」

コスモポリタンとは、直訳すると「世界主義者」。綾乃さんがコスモポリタンという言葉に懸ける想いとは?

大学を卒業してから、かなり波乱万丈でした(笑)。国内の就職活動はせずに、「ドイツでジュエリーの仕事がしたい!」と、ドイツ語も話せないのにスーツケース片手に単身でドイツに乗り込ところまでは良かったのです。でも、現地に行くと、内定をもらっていたドイツ企業から、「やっぱりドイツ語が喋れないとキツイなー。ごめんねー」と、内定が取り消しになってしまって、さあ大変!泣いて日本に帰るか、踏ん張るか。後者を選択して、10年ドイツで頑張りました。

その後、ドイツで知り合った現在の旦那さん(日本人)と結婚し、長男をドイツで出産。長男が1歳半になるころ、旦那さんの仕事の都合で日本に帰国し、次男は日本で出産しましたが、その後、また旦那さんの赴任がきまり、現在はミラノに在住して3年目になります。

ドイツで踏ん張っている時代(笑)に、「言語の壁」は「心の壁」に繋がっていると気づきました。実は、ドイツにはトルコ人がたくさん住んでいるんですが、中にははドイツ語を話さず、トルコ人同士で固まって過ごす人も多い。そんなトルコ人とドイツ人は、お互いの理解が追いつかないためか、度々衝突が起こることも。それらの様子を見ているときに、「言葉が話せないと、相手の気持ちを知ることができない。分からないことが不安・恐怖に繋がり、自分を守るために攻撃してしまうのでは?」と思い至ったんです。

たとえどんなにつたない言葉であっても、現地の言葉を使って話そうと頑張れば、現地の人たちは「歩み寄ってくれてるんだね!」と評価してくれて、心の距離も一気に縮まってしまうことがある。心の距離が縮まると、全然違う文化を持った人間同士、お互いをもっと深く理解していけると感じています。

「分からないことは恐怖になる」というのは、人間のベーシックな性質なんでしょうが、言語というツールを通じて、様々な国の文化を理解し自分自身の多様性を拡張していけると私は考えています。

日本式には拘らない!コスモポリタン子育て

週に1〜2回は、現地のミラノママや様々な国籍のママとお茶をしたり、アペリティーヴォ(夕食の前の「軽く一杯引っ掛ける」的な集い)に出かけるという綾乃さん。息抜きでもあり、自分自身の知見や視野を広げるための良い機会になっているんだとか。

 

ミラノ(現在の居住地)では、どんな生活をされているんですか?!

ここでもやはり、「その土地の言葉を話したい」という思いがあったので、プライベートレッスンなどを受けてイタリア語を習得しました。現在は、週に1〜2回は、イタリアや他の外国人のママ友とお茶をしながらざっくばらんな話を楽しんだり、子供をシッターさんに預けて飲みに行くことも。

日本を離れると、逆に「日本人としてのアイデンティティ」を意識する機会が増えます。海外では日本人のことを、「真面目で勤勉。時間に正確で綺麗好きな人種」と考えられることが多い。確かに、これは日本式の良妻賢母のイメージそのものだし、私も日本人代表としてそのイメージを壊さないようにしなきゃ〜(汗)、と思ってしまうこともあります。でも、いろんな国の子育て法に触れるにつれ、日本式に拘らなくてもよいのかも?と考えるように。

例えば、イタリアでは日本よりもベビーシッターの利用が進んでいるので、シッターさんを利用することに罪悪感は殆ど無さそうです。私は日本にいた時は、子供をシッターさんに預けて飲みに行ったことはありませんでしたが、実際にやってみると、本当に良いリフレッシュになると分かりました。そんな風に、各国のママの育児法をうまく取りいれていきたいなと考えています。「コスモポリタン育児」みたいな(笑)。

原動力は「私がやらなきゃ精神」

今年誕生したファッションブランド「AYANOHAKURA」。実は、2018年の年明けに構想し、5月には初の展示会を開催。”見切り発車感“は否めませんが(笑)、自分にしかできないことが、まだまだたくさんあると思っています。

 

濡れない。シミにならない服”という驚きのコンセプトで立ち上げられた、ファッションブランド「AYANOHAKURA」。なぜ、このビジネスを立ち上げたのですか?

世界各国のママとの交流を通じて、日本にいるとなかなか意識できない「世界規模の環境問題」の最新情報を知りました。同時に、どんな国の方式でも、基本的に「育児は大変!ママは大忙し!」だということにも気付いたのです。私自身ももちろん「大忙し!」なのですが、何かのプロダクトで、「環境問題」と「ママの大忙し問題」を少し改善していけないか?と考えたんです。私がやらなきゃ!という使命感にも燃え、思いついたのが最新の加工技術を用いた洋服だったんです。

汚れにくい服であれば、子育て中のママも負担を増やすことなくファッションが楽しめるし、汚れなければ洗濯の回数を減らすことができる。環境にも優しいライフスタイルになります。

出産前や、長男出産後に帰国していた期間は、企業で働いていました。その時は、仕事にやりがいはあったのですが、なんかしっくり来ていなかったんです。誰かに指示された自分の目の前の仕事が、「誰のどんな幸せに結びついているのか」が見えにくかったからかもしれません。AYANOHAKURAは、ダイレクトに誰かの幸せに結びつけることができるので、すごくしっくり来ているんですよね。

これから、マレキュールを通じて、海外の様々な視点を皆様にお届けできたらと考えております。

ミラノ在住のマレキューラー綾乃さんの話は、いつも本当に刺激的で楽しいんですよね。これからも、綾乃さんの「型にとらわれない視点」を通じた情報発信、楽しみにしております。

 

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