楽しみながらできる地球のための小さな一歩 コンポストで命の循環を取り戻す【前編】

環境問題への関心が高まりつつある中、大ごと過ぎてなんだか自分には無関係かな…何かをしなければと思いながらも、何をしていいかがわからない…そんな風に感じている人も多いのではないでしょうか?も含め、【Molecule(マレキュール)】読者の世代の皆さんは、仕事に子育てに大忙し。大きく生活を変えることや、デモなどの政治的な運動に参加するのはハードルが高いものです。環境問題に取り組みたいと思っていても、なかなか行動に移しにくいのではないでしょうか。小学生を育てながら働く筆者もまさにその一人。そんな筆者が挑戦した日常の延長にある環境問題への小さな取り組み体験記から、私たちができることについて考えてみませんか?

日本では環境問題は他人事? 子どもたちの未来に直結する衝撃

ヨーロッパで近年大きく取り上げられている環境問題についてのトピック。子どもたちを中心に広がったデモ活動が日本でも話題に上がり、国内の関心も高まってきました。【Molecule(マレキュール)】でも、ヨーロッパ在住のライターが力を入れて執筆しています。

でも、大きなデモを見ていても日本で暮らしていると、すごい人たちがいるんだなあとどこか他人事、毎日変わらず普通に過ごせているし、環境問題って自分とはそんなに関係ないでしょ?という気持ちを抱いている人も少なくありません。

日常のタスクに忙殺されていると毎日を送ることに精いっぱいで、地球のことなんか考えている暇もなくあっという間に過ぎていきます。かくいう私もまさにそうでした。ニュースを追うだけで精一杯、自分の行動とは今一つ結びつきません。

ところがそんな折に、ふとしたいきさつで地球環境の危機についての友人の講演会に参加したのです。そこで知ったことは、このままのペースで私たちが生活を続けていると、そう遠くない未来に地球環境が大きく変わってしまい、生物の環境(つまり私たちの生活や資源)も変わらざるを得ないという事実。

そして、主にそれらの影響を大きく受けるのは、私たちの子どもの世代になるだろうというなかなか衝撃的な内容でした。

環境問題について関心がなかったわけではありません。でも、こんなにも危機的な状況だということについてデータを提示されたことにより、現実味が帯びたのです。つまり私は環境問題に、しっかりと向き合っていなかったのだと思い知らされたのです。

私たちが現状の資源に依存した生活を続けることで、子どもたちにそのツケを回すことになってしまう。それは大人としてとても無責任なふるまいではないだろうか…とにかく、何か行動をしなければという焦りを抱きました。大それたことはできないけれど、とにかくできることから行動しよう!そのように決心したのでした。

ごみを減らすのが楽しいコンポストとの出会い

地球環境と毎日の生活について考えていたそのタイミングで、SNSで知人が紹介していたベランダで出来るコンポストを知りました。環境にいいだけでなく、見た目もかわいいし、なんか簡単そう!とやってみることにしたのです。

実際に私が始めたコンポストは、とても手軽なものでした。独自に配合された土の中に、生ごみを入れてかき混ぜます。繰り返すうちに、土に生ごみが分解され、栄養がたっぷり入ったその土でベランダ菜園ができるというもの。

生ごみをためておく必要がなくなるし、虫やにおい対策もしっかりされていたので、初心者にもうってつけです。

地球環境のために、と大きな大義名分ももちろん素晴らしいですが、やっぱり自分にとってうれしいもの、楽しいものという観点は、三日坊主の私が続けていくために欠かせません。ごみを減らせる、簡単、家庭菜園ができるという三拍子で、即決したのでした。

長野に移住して気づいたごみの量

さて、私の環境問題への小さな一歩がなぜごみ問題に向き合うという選択だったのか。それは移住生活に関係しています。

東京から長野に移住して1年ほど経ちますが、実は衝撃を覚えたのがごみの分類でした。

今まで都内での暮らしでは恥ずかしながらほぼ分類せずに、燃えるごみとして大体のごみを出していました。もちろんリサイクルごみや燃えないゴミは別でしたが、その他はすべて燃えるごみの分類ですぐに出せてしまう環境だったのです。

その環境から長野に移住し、驚いたのは分類の細かさ!まずは何種類もの有料ごみ袋を買うところから始まり、細分化されたごみ分別リストを読み込みながら、一つひとつ分けていかなければなりません。

筆者撮影

しかもリサイクルごみに関しては、今まで毎週出せていたものが月に1回しか回収がないものも。1か月もためていたらごみ屋敷になってしまう!!!という気持ちから、自然とごみをできるだけ減らす生活へとシフトしていきました。

「なーんだ!やればできるじゃん!」と自画自賛ですが、実際に意識するだけでもだいぶ変わりました。過剰包装などを避けるだけでもかなりの減量になるのです。これには自分でも驚きです。反対に、今までの私はなんと無駄なごみの多かったことか…と改めて気づかされたのです。

ただ、生ごみだけは庭がない我が家はどうしても収集日まで取っておくしかありません。週2回の回収があるとはいえ、外にためておくのでにおいが気になります。そんな私にとって、においを気にせず生ごみを減らすことができるコンポストは、救世主のように感じたのです。

命の循環から切り離された都市生活

そしてコンポストを選んだもう一つの大きな理由は、命の循環を感じられることでした。

山々に囲まれた自然な風景や、たくさんの田んぼや畑とそれを手入れする人々、そして生い茂った木々の中に住む生き物たち…長野での生活では、それらを見ながら四季の移り変わりを感じることができます。

地域の直売所ではその地でとれた立派な食材が並び、人々はそれを買って四季とともに変わる料理を作り口にします。この風景から私たちの命はほかでもない、自然の営みによって支えられていることに気づくことができたのです。

今までの都市部での私の生活では、スーパーに行き、パッケージングされた、どこでとれたかも大して気にしない食材を手に、毎日の食事を用意するような生活。

食材の後ろにある人々や景色はそこにはありません。自然の営み、命の循環が遠く、それらからすっかり切り離された生活だったのです。

都市部での暮らしが悪いわけではありません。それぞれに一長一短があることを理解しています。ただ、命の循環という観点からは、やはり都市部は見えにくくなっているように感じざるを得ません。私たちは命を取り込まなければ生きていけません。でも、自然のサイクルから切り離されてしまうと、そのようなあたりまえのことさえ忘れてしまいがちです。

コンポストで微生物によって分解されることで生ごみはごみではなくなり、新しい命を生み出す土壌となります。その土壌から生まれた作物を私たちはまた取り込むのです。

このような循環が本来の私たちの命の在り方を思いださせてくれ、そして地球とともに生きていくモチベーションにつながるのではないかと感じたのです。そんないきさつで、ごみを減らせて自然のサイクルを身近に感じることができるコンポストは、私の心をぎゅっとつかんだのでした。

小さいアクションを楽しみながら環境問題と向き合う

大それたことをしなくても、できることをこつこつと続けてやること。私はなにか大きなうねりが必要な時ほどそのスタンスを大切にしています。

今住んでいる場所は、よく移住生活としてイメージされるような、山奥のぽつんとした一軒家ではありません。現実問題として仕事や子育てなどの日常もあり、利便性に慣れてしまった私たちがそれをそう簡単に手放せはしないのです。

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だから、家庭菜園へのあこがれはあったものの、手間がかかりすぎる畑仕事や自然に寄り添った暮らしというのは正直実現が難しい…無理してやっても継続が難しくなります。だからといって、あきらめて何もしないのでは意味がありません。

自分も地球も喜べるような楽しいことを、少しずつ始める。そんな小さなアクションから、環境問題を考えたっていいと思うのです。(だって、そんな大それたことなんてできないし!)

私にとってコンポストは、楽しみながらできる小さな一歩。やらなきゃ、と思うとなんだか気が重いけれど、やりたい!と思える取り組みを見つけられたのは、自分にとっても収穫でした。

さて、そんな風に始まったコンポスト生活について、後編では実際にどんな風に実践したかをレポートします。私にもできるの?難しくないの?三日坊主は克服できたのか!?ごみは本当に減ったの??などなど、日常にどんな変化が訪れたのかについて考えます。

普通の暮らしに、わくわく楽しいちょっといいこと。自分にも環境にも優しい一歩、自分にもできることは何か、改めて考えてみるきっかけになれば幸いです。

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