育休は足かせ?!欧州のワーママには「早く復帰したい派」も

みなさん、こんにちは。ライターの羽倉綾乃です。

アメリカやデンマークにちょこっと、ドイツで10年半過ごした後、2年半ほど前よりイタリアに住んでいます。ヨーロッパに長く住んでいると、日本の当たり前が当たり前じゃないんだと気づくことがあります。最近つくづく感じるのは、「日本の女性のように生きて行くのって大変だな」ということ。完璧なスタイリングや完璧なお弁当、ママ友付き合いに週末の家族写真のSNS投稿・・・。

前列右から2番目が羽倉綾乃。イタリア在住、多国籍なママたちとの交流を楽しんでいる

ミラノのママはスタイリングは完璧ですが、お家の家事と平日の育児はTataと呼ばれるシッター兼お手伝いさんに任せていますし、朝は甘いお菓子に昼はサラダ、夜に冷菜と(ハムとフルーツやカプレーゼなど)作り置きしてある(ここはイタリアの意地)手作りソースをパスタに絡めて・・・、そんな感じです。冬はシャワーをスキップすることもあるし、もちろん髪の毛は3日に一度くらい洗えば十分です。髪の毛はむしろ3日目くらいにちょうどいいツヤが出てきて、まとまりやすくなるんだとか。

毎日フル回転で動いている日本の女性達に、ちょっとだけ肩の力を抜いてほしいそんな想いを込めながら、今回は育休取得期間について、取り上げてみます。

欧州では1年間の育休取得が当たり前じゃない!

デンマーク人のヨハネは2児の子育て中。6月に3人目の出産を控えている中「産後2ヶ月で復帰」を宣言している。

少子化問題と高齢化のW問題を抱え、日本政府は、女性だけでなく男性にも育児休暇を与え、保育園を増やして待機児童を解消しようと大忙し。

日本は子供が一歳になるまでの間、健康状態や保育所が見つからないなどの諸事情があればさらに延長することができる。その間収入も保証されています。この子育て支援策は西側の先進国と比べても引けを取りません。日本の女性は、勤務先の会社で育休を取得できる権利があれば、1歳になる4月まで割と長期間の育休を取得するのが一般的だと思います。

だけど、ちょっと待って。世界から見たら、一年間の育児休暇を取ってる女性って実はそんなに多くないのです。

お腹がパンパンに膨らんだ、デンマーク人のヨハネ。三人目の男の子の誕生を目前に、顔つきは少し憂鬱そうです。

ヨハネ:「夫はずっと夢だったスタートアップを半年前に立ち上げたばかりなのよ。おめでとう、お祝いしなきゃね、って言った夜、ものすごい吐き気に見舞われて。そしたらこっちもオメデタだった。Opps-Babyってこのことね。もう二人でしばらく途方にくれたわ」

彼女自身も食品会社でキャリアを積んでいましたが、二番目の子が生まれたタイミングで夫のミラノ駐在が決まり、1年間限定でこちらに来ていたところでした。

羽倉:「そんなに慌ただしく帰らなくてもご主人の任期が終わるまで一緒にいたらいいじゃない?5歳と1歳の子を抱えてコペンハーゲンでワンオペ生活ってタフでしょう?」

という私に少し呆れた顔をして

ヨハネ:「でも私のキャリアは待ってくれないわ。それにこの空気の汚れたミラノで子供を育てたくない」

そう、彼女は少しホームシック気味でもありました。

羽倉:「いずれにせよ、三人目のベビちゃんはあちらで生まれることになるのね。貴方も来年にはキャリア復帰できてよかったわね」

というと、今日もまた少し呆れた顔をして

ヨハネ:「まさか!今が4月。この子が生まれるのが6月。ちょうど夏休みになるからその間は家で過ごすとしても、8月終わりから復帰するわよ。」

え?そんなに急がなくちゃいけないの?デンマークでも育休は1年間まで、所得も最大100%まで保証されています。なぜそれを使わないのでしょう?2018年の今も、パワハラやらマタハラは世界共通?

羽倉:「最初の一年くらいは母乳やら夜泣きやらで体力的にも辛いし、少しゆっくりしようって思ったりしないの?何よりかわいい盛りの赤ちゃんの成長がリアルで見られる大事な時間でしょ」

というと、彼女は大きく肩をすくめて

ヨハネ:「子供が可愛いのはこれからもずっとだし、母乳も夜泣きもいくらでも解決策はあるでしょ。それに家に赤ん坊と二人きりって私に取っては地獄よ。」

ちなみに彼女、生後三ヶ月の次男に「噛み付かれたのよ!」と言って、2度と授乳はすまいと早々と断乳するという、ある意味とっても潔い女性です。確かにその通りです。さすが北欧、いや先進国きっての出生率1.74を誇る国。無理にママにさせない感じが、進んでいる感じがしました。1歳を過ぎた後も、残りの育休を8歳になるまで小出しで消化できるスウェーデンのような国もありますし(育児休暇はパパの分と合わせて480日)、女性の選択の幅はとても広いのです。

育休取得を推奨する日本、産後間もない女性に働ける機会を増やそうとするフランス

羽倉もイタリアで2児の子育てをしながらアパレルブランドを起業。

先進国トップクラスの出生率を誇るフランスも、サルコジ前大統領は自国の手厚い育児休業制度を「女性にとっても、家庭にとっても、社会にとっても、無駄」と言い切り、労働意欲があるのに休職することを強いられている女性の現状を改善しようとしたと言います。

それに比べ日本は、いくらマタハラを無くそうとか、産後もポジションを確保しなくちゃいけないとか言っても、自分の復帰後の状況なんてつまる所はその時の運。上司や同僚が理解があるかなんて、個人差がものすごく大きいですよね。だからみんな子供を産むタイミングに、年頃なナデシコたちは思い悩んでいるのだと思います。

産んだら終わり、キャリアはやむなく一時停止みたいな。それだけのリスクを取るなら、制度を最大限に利用しなくちゃ損、みたいな感じ、ありませんか。

三歳児神話が語られることは少なくなって来ましたが、日本人女性の「可愛い盛りに、なるべく一緒にいなくちゃ損」的な発想は根強くあります。生まれて間もないほど、年齢が低ければ低いほど、母親と一緒にいるべきだという考えが根底にあるのでしょうか。

言葉を変えてみれば、これは現代の「1歳神話」かも知れません。せめて、この時期は一緒にいたい、いてあげて、というメッセージ。

私たちに共通するのは、母親としての「罪悪感」です。育休をフルに取ることがベストで、そう思わなくっちゃ愛情が足りない?いい母親じゃない?こんな早い時期から保育園なんて、可哀想?

冷静になってみれば、愛情が一番必要なのは、意識が芽生えてしばらく経った2歳以降かも知れませんし、10代の思春期真っ盛りだって、親の愛情を必要としている訳で、最初の1年間にこだわる必要はないはずです。

もちろん、ママや子供の体質や体調がいつもベストだとは限らないのだから、育児休暇が充実しているのはいいことには違いないと思います。それに、少し余裕が出て来たらその時間を利用して、自分のスキルアップに勉強したり資格を取ったりするチャンスでもあります。

でも、「取るべき」である必要はありません。子供はママだけなく、パパや他の家族、保育士さんやシッターさん達皆から愛されて育つのですから。愛情の量=一緒に過ごす時間の量では無いのですし。

ということで。

子供が「できる前」と「生まれた後」、女の人生は変わってもいいし変わらなくてもいい。あなたが一番幸せな形で生きていけることが、多分正解なのでは、と遠い国から思う今日この頃です。