ロールモデルに囚われない私 #06 パラレルワーカー | 三木佳世子さん

新卒でNHKに入局し、報道番組のディレクターとして10年以上現場で活躍したのち、結婚・出産を経て今夏にサイボウズ株式会社に転職した三木佳世子さん。複業でテレビディレクターの経験を活かしたPRセミナーや講座も開催するパラレルワーカーとして、新たな道を歩み出しました。しかも先日、入社僅か4ヶ月でサイボウズで活躍・貢献してくれた人に贈る「サイボウズオブザイヤー」を受賞したというのだから驚きです。そんな情熱溢れる三木さんが考える「わたし軸」についてインタビューしてきました。

パラレルワークは「わたしの両軸」、全く異なる出会い・挑戦の場に

三木佳世子(Kayoko Miki)さん。| 元NHK報道番組ディレクター。現在は、サイボウズ株式会社で、“働き方改革”に取り組む企業向けのメソッド事業に携わる傍ら、複業としてメディアPRのコンサル、動画×インタビューのオリジナルメソッドで発信力を高める講座を開講。雑誌Domaniの読者モデル活動も。ワーママ向けの朝活コミュニティ「ワーママ解放プロジェクト」主宰。欲しい未来を自分の手で創っていける人を増やしたいと活動。3歳息子の子育て中。

―NHKのディレクターで最前線で活躍されていた中、サイボウズへの転職のきっかけは何だったのでしょうか?

ちょうど1年前にサイボウズの青野慶久社長の講演をNHKで聞く機会があり、そこで青野さんの「100人いれば100通りの人事制度があっていい」(人は既に多様なので、石垣を作るように、その多様な人の集まりで会社というチームを作っていく)という考え方や、「質問責任・説明責任」についての話(質問せずにモヤモヤして飲み屋で愚痴るのは卑怯者のすること)に感動した、というのが最初のきっかけでした。(参考:「チームのことだけ考えた(ダイヤモンド社)」「会社というモンスターが、僕たちを不幸にしているのかもしれない。(PHP研究所)」

当時は息子を出産して時短で復職したものの、100人ほどいた部署でワーママは私1人、ディレクターとしてどう働いていけばいいのか?周りの人と比べてしまい、葛藤や悩みを抱えていたので、青野さんの言葉やサイボウズという組織の在り方に「そんな夢みたいなところがあるの!?」と、とにかく衝撃を受けたんです。

―現在はサイボウズとご自身のPR事業のパラレルワークとのことですが、どのようなスタイルで働いていますか?

サイボウズでは、「チームワーク総研」というところで、“働き方改革”やチームワーク、コミュ二ケーションに悩む企業様向けの研修・講演事業など、サイボウズがこれまで取り組んできた人事制度や風土作りのメソッドを伝える仕事をしています。基本的に平日週5日出勤なので、理由を問わず柔軟にリモートワークが出来る環境はありがたいですね。

複業は、平日の勤務時間外や土日に、メディアPRのコンサルティング業務や、発信力を高めたい人向けのセミナー・講座を開催しています。

―サイボウズでも社員としてフルコミットしている中、パラレルワークのスタイルを選択する魅力ってどんなところにあると思いますか?

たまに、サイボウズは独立するまでの間だけ在籍しているつもりなの?などと聞かれるのですが、どちらか一本にするつもりは全くないです。会社員としてサイボウズを通して出会う人、複業で出会う人は違っていて、世界が広がると思っているからです。

更には、サイボウズで発揮できるスキルと、複業で挑戦できるスキルも全然違うので、複業ではテレビディレクターの経験をもとにPRの活動をしていますし、サイボウズと自分の複業の両輪あってこその私なので、パラレルワークを辞める理由がないんですよね。パラレルワークをするようになって、自分自身の成長・変化の速度が早まっているという実感もあります。

「子どもが何を言っても、全力で受け止めたい」

―プライベートでは3歳の息子さんの子育て中とのことですが、どんなママでありたい、と考えていますか?

私の幼少期は、大人が考えることを先回りして答えるような子だったんです。大人がどんな答えを求めているのか?考えすぎて喋れなくなることもあって、幼稚園受験では簡単な質問にも答えられなかった苦い原体験があります。

だからこそ、私がママになったら、絶対に答えを用意せず、子どもが何をいっても、全部受け止めてあげたいと思ってきました。そして私自身「自分の意見をしっかり言えること」がずっと克服したいテーマだったので、複業のPRセミナーも、言えない人たちの力になりたい、という想いで発信力をサポートする活動をしています。

― 一方、旦那さまは元同僚とのことですが、自宅でもやはり旦那さまとは仕事の話が多いのでしょうか?

出産後は、私が息子と夜寝落ちして夫と喋る時間が減りましたけど(笑)、産後半年くらいからは、月1回程キッズラインでシッターさんに息子を見てもらい、2人で夜にご飯を食べにいくことをしていました。お互いの仕事の話とか、子どもの話とか、未来はこうなりたいよね、とか。

今でも、元同僚として夫の職場の話がわかりますし、夫は夫で、サイボウズの青野社長の本を自ら読むなど、私の仕事を知ろうとしてくれています。

日頃、夫との関係で大切にしているのは、「自分の情報を小出しに出していく」ということです。家族という一つのチームの未来をこうしたいから、いま私はこういうことを頑張っていて、これくらいの場所まで来たよ、という感じで伝えています(笑)。これが、家族というチームの運営を楽しみながら行うために、すごく良いことだと思っています。

弱い自分も全てオープンにすることで本質が伝わる

―三木さんにとって、「わたし」らしい生き方ってどんな生き方だと思いますか?

自分が生まれたことの意味とか、自分の身に起きた出来事の意味とか、一つ一つに真正面から向き合い、意味付けをしながら、発展途上人として新しいことに挑戦し続けること、自分を更新し続けていくこと、それが「わたし」らしい生き方でしょうか。

―意味付けをしながら自分を更新し続けていく、という表現が印象的です。

実は、小学生の時に関西から東京に引っ越してきて、いじめを受けたり、両親が離婚したり、ネガティブな出来事がたくさんあり、「なんで自分ばかりこんな辛いんだろう…」って幸せな未来を描けずにいました。

そんな時に大学受験で通っていた塾の講師から「未来はエンプティキャンバス(=自分で自由に描ける)だよ」と言われて、はっとしたんです。自分の身に起きたことを、ただつらかったこととして終わらせるのではなくて、意味づけをすれば乗り越えられるかもしれないと思うようになりました。

そこで、大学生の時の研究テーマを「多様性の受容」に決め、就職活動の際も、マイノリティと言われている方たちへの偏見や差別をなくしたい、違いを認め合う優しい社会を作りたいと思って、NHKに入りました。法律とか政治とか、そういう手段ではなく、人の心が変わらないと結局は変わらないと思ったので、私が伝え手となって人の心に届けたい、という使命感からでした。

かつて悩んできた私でも、そこから自分自身と正面から向き合い、行動・表現してきたことで、いま様々な挑戦ができています。人ってネガティブなこと、辛いことを隠してしまいがちですが、そこに至る背景をちゃんと伝えることこそが、いまの「わたし」がどんな理由で生成されたのか、エッセンスが伝わる機会だと思うんです。

例えば、「私はこうなりたい」という未来像を語る際も、「何で、そうなりたいんですか?」と聞かれたら、何かしら辛い体験や過去の葛藤が出てくるじゃないですか。そこも隠さずにオープンに伝えていくことで、本当の意味で相手に想いが伝わると思うんです。綺麗事だけでなく、弱いところも見せてくれる方が好きになっちゃいませんか?(笑)

頭で考えて何かを諦めるのではなく、すっ転ぶときは豪快に、時に痛みも受けながら生きていくのが、自分らしい生き方なのかなぁと思っています。

ー最後に、マレキュールでは、どんな人たちを取材していきたいですか?

まだ表に出ていない、【molecule(マレキュール)】だからこそ光を当てられる人にスポットライトを当てられたら良いな、と思っています。

 

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