育休を変える、わたしが変わる VOl.2

2019年3月に公開した記事で「育休を新たなスタートラインに、社会全体の変革へ」と強いメッセージを発信し、大きな反響があった育休コミュ二ティ「MIRAIS」代表の栗林真由美さんの連載です。この春から育休復帰した彼女とともに、【Molecule(マレキュール)】読者の皆さんも「育休」という期間について、今一度考える機会にしませんか。

育休中に感じるモヤモヤの正体ー。

前回の記事で書いた「育休中に感じるモヤモヤの正体」。それはこれまで当たり前にあった「機会」「役割」「仲間」が、 ある日突然ポンっと何もない環境に一人で置かれること、そしてモヤモヤを心から吐き出せる場所がないことでさらにモヤモヤに拍車がかかることを書いた。

だから育休コミュニティ「MIRAIS」を立ち上げたこと、そして、そうした育休も実はこの数年間で育休者たちの手によってどんどんアップデートされようとしている。

今回は、そんな育休期間を会社員でもなく、妻でも、母でもない「自分軸」で過ごすにはどのようにしたらいいのか、私自身の経験を踏まえながら書いてみようと思う。

モヤモヤ期間からの思わぬ脱出

一人目の育休中。私は必死だった。

これまで近所の知り合いが誰一人いなかったこともあり、いわゆる近所のママ友を増やそうと「すくすく会」と言われる同じタイミングで出産した人が集まる会に参加したり、近所のベビーマッサージに参加したり、とにかく色々なところに顔を出して、必死に会話を合わせて、ママ友を作ろうと躍起になっていた。

でも、そんなことがずっと続いてある日、私は張り詰めていた糸が切れたように全てのことに疲れてしまった。

「何をこんなに頑張ってるんだろう」
「こんなことしてなんの意味があるんだろう」

とその日に参加する予定だったママ友の会も欠席するほどどっと疲れがでた。

頭の中に巡る「私、何やってるんだろう?なんの意味があるんだろう」に何も答えが出ない。

押し寄せる焦燥感と、疲労の中、ふと私の頭の中で

「子育ては留学だから」

という声がした。その言葉は私が妊娠中に知り合った尊敬する奥田浩美さんの言葉だった。妊娠中、キャリアを諦めなければならないとずっと思い込んでいた私に奥田さんがかけてくれた言葉だ。その言葉を聞いて当時の私は心底救われた。

「そうか、「留学」だと思えばいいんだ!」。

今までにない新しい視点を持てた私はそこから自分の世界が変わった。この言葉に私は二度救われることになる。

そうか、、今こうしているこの期間も「留学」なんだ。

そう思うと急に気が楽になった。「留学」なんだから最初からうまくいかない、「留学」なんだから色々チャレンジすることに意味がある。これまでの私の疑問はこの言葉が全て解決した。

せっかくの留学期間をムダにしたくない

産休に入ってすぐに取得したアニバーサリープランナーの資格を活かし、ハロウィンパーティーを企画した時の様子(左奥が栗林さん)

「育休中は留学中」私の中でその言葉が出てきたおかげで、毎日が激変した。

ただのママ友とのランチも「留学」と思えば普段働いていたら出会えない人との交流はとても貴重でありがたく感じたし、子連れのイベントも留学期間だからこそ参加できると思うとイベント自体を楽しめるようになった。

焦燥感も次第に消えていき、「留学中なら色々トライしてみよう!」と思うようになった。これまで「会社の自分」でしか見れてなかった私が、初めて素の自分の「軸」を持てた瞬間だった。

自分の「軸」を持てたおかげで私はこの育休をどう過ごすのか?をさらに考えた。この「留学期間」をなんとなく過ごすことだけはやめよう。せっかくの留学ならば意義あるものにしよう。

色々と考えた結果、

  • 最愛の子どもができて「母」としての役割の大変さも楽しさも感じてきている中で、やっぱり私は「仕事」が好きだということ。
  • 最愛の子どもには「母」である背中よりも「働く背中」を見せていきたいということ。

この決意は自分の中で確かなものだった。ただ、まだ自分の中では子どもがいれば以前のようには働けないという不安もあった。

だけど、「育休中は留学中」という発想の転換が私を変化させたように、子どもがいるから思いっきり働けないのではなく、子どもがいても思いっきり働きたい。むしろこんなに最高で最強の応援団が近くにいるのに、妥協した働き方をする背中など見せたくない。

だからこの育休中は「子どもがいても思いっきり働けるようになる準備期間」にしよう。と私の中で静かな決意が芽生えた。

テーマを決めて加速していく育休

ママボノに参加していた当時の栗林さん

「子どもがいても思いっきり働く準備期間」というテーマを設定したことで私の育休は加速していった。

奇しくもこのタイミングで、今や2600人以上が参加している育休プチMBA勉強会がまだ形を成す前、産後エクササイズの教室で偶然勉強会を主宰する国保祥子さんや、育休プチMBA勉強会の立ち上げメンバーたちと出会った。

当時はまだマンションの一室で開催されていた勉強会に誘われ、勉強会の参加常連メンバーとなり、そこから育休プチMBA勉強会の立ち上げに関わるようになる。

また同時期に自由大学の女性起業スクールにも子連れで通い、当時描いていたアニバーサリーのビジネス化について検討したり、起業家の話を聞いたりと子どもを追いかけながら授業を受けていた。

この2つが走り出してから、一気に忙しくなっていた。そして、その数か月後に当時はほぼ無名だった「ママボノ」にもプロジェクトリーダーとして参加することになる。

判断軸になるテーマという存在

ママボノに参加するときはさすがに躊躇した。すでにキャパオーバー気味だったのに、さらにもう1プロジェクト。さすがに無理なのではないだろうか・・・。

ママボノの事務局側から「ぜひプロジェクトリーダーを」と打診されていたが、一度断った。参加するだけでも躊躇しているのに、プロジェクトリーダーなんて絶対無理!

けれど、ふと私が設定したテーマが頭をよぎった。

「子どもがいても思いっきり働く準備期間」

このママボノはこのテーマに沿っているのか?、私はこのママボノで何を得たいのか、リーダーをすることでこのテーマを実現できるだろうか、と考えた。

当時育休プチMBA勉強会で学んでいた「マネジメント思考」をママボノのリーダーで実践することができる絶好の機会なのではないだろうか、と捉え直した。

この機会をぜひ活かしたい。そう思って一度は断ったママボノのリーダーを引き受けることになった。

このように「テーマ」を決めたことで私の育休は有意義なものになり、今振り返っても充実していたと思う。それはこの「テーマ」に沿って時に取捨選択し、時に挑戦していたからに他ならない。

テーマがなければきっと闇雲に色々なものに手を出し、それが拍車をかけて結果またモヤモヤした育休になっていたに違いない。

モヤモヤすることは悪いことではない

育休は最愛の子どもができて、子どもと濃密に過ごせる大切で大事な期間。

「最愛の子どもと過ごすことだけを考えればいいのに・・・」

こう思う読者もきっといるだろう。愛すべき子どもがいるからこそ、私は視点を「今」ではなく「未来」に向けた。

この育休という期間から、私が子どもにできること。それは「働く背中」を見せ続けられる人でいること。会社から離れる期間、子どもと一緒にいれる大切な時間だからこそ、ただモヤモヤ過ごすだけではもったいない。

子どもにどんな背中を見せていきたいか、育休を取っていた時に未来に視点を向けたことで今の私がいる。未来を向いて、自分の「軸」を考えていくことでテーマが生まれ、より充実した育休を過ごすことができる。

もし、育休中でモヤモヤしていたら、そしてこれから妊娠、出産を迎えるにあたり不安がよぎっていたら、それは変化するチャンス。なぜなら私をはじめ育休コミュニティ「MIRAIS」の延べ100名のメンバーが最初はこのモヤモヤから始まったのだから。

ここから視点を未来に向けて、自分の「軸」で動いていけば自ずと充実した育休を過ごすことができると私は「MIRAIS」メンバーの劇的な変化を目の当たりにして断言できる。

だからモヤモヤを感じることは決して悪いことではなく変化のチャンスと捉えてほしいと心から思っている。

次回は、令和の「育休」は平成の育休とどんなところが変わるのか?変わらないのか?どうなってほしいのか、を書きたいと思います。

育休コミュニティ「MIRAIS」の詳細はこちら▽

https://ikukyu-community.amebaownd.com/

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