産後2ヵ月でキャリアのきっかけをつかむ フリーランスWebデザイナー・日野美理さん

損保の事務を3年、結婚を機にジュエリーメーカーへ転職した日野美理さん。ジュエリーメーカーでは広報担当として3年勤務されました。出産で1年程お休みした後に、現在はフリーランスでWebデザインの仕事をされています。広報からWebデザイナーへの大きなキャリアチェンジのきっかけはなんと、産後2ヵ月でのクリエイティブスクールへの通学 。産後間もないお子さんを抱えながらも、新しいことに挑戦できた言動力は何だったのでしょうか?会社員から一転、フリーランスでお仕事を受注したきっかけ等、日野さんの様々な変化についてインタビューします。

葛藤が続いた産前産後、新しい学びが気分転換に

ー結婚してから出産前まで、どのように働いていましたか?

結婚前は土日勤務もあるシフト制の仕事だったので、生活スタイルを変えたいと思っていたんです。そんな時にジュエリーメーカーに勤める知人から「一緒に働かない?」と声を掛けてもらい、「平日勤務であること、広報の仕事にチャレンジできるということで転職を決めました。転職後はできれば定時退社をして、ご飯を作って夫のサポートもしつつ、時間に余裕のある新生活を思い描いていたんです。

転職したジュエリーメーカーは13人ほどの小さな会社で、上司にアドバイスをもらいながら実質一人で広報の仕事を担当して3年程勤めましたが、取材対応やパンフレット製作、商品撮影、ポップアップの準備で忙しく「これでいいのかな」という働き方に対しての疑問がふと浮かびました。実は結婚してからは専業主婦もいいかなという気持ちがあったんです。でも転職してからは広報という役割柄、思っていた以上に忙しく、定時退社できない日々でした。特にプレゼント需要の高まる秋~冬にかけては忙しく、3年間勤め、妊娠が分かった時には妊娠・出産を機にキャリアチェンジではなく、 働くことは一旦辞めようと考えました。全力で3年間働いたと思いますし、マネージャーとして下の子に教えて育てて行くことにプレッシャーを感じていたのも理由の一つですね。

ー出産、働き方や忙しさはどのように変わりましたか?

出産をしてからは思った以上に子育てが大変でした。ずっと家の中にいるようになって「私は何をしているんだろう?」「何か新しいことをやりたい!」という気持ちが湧いてきて、そこで思いついたのがWebデザインだったんです。ジュエリーメーカーの広報をしていた際に、自社サイトをリニューアルする機会がありました。当時パンフレット制作など印刷物のデザインは独学で行い、なんとか形にすることが出来ました。でもその時にWebサイトのデザインはどうやって作られていくんだろう?と疑問を持っていたんです。そして、その時に「デザインって楽しいな」と思っていたことが繋がり、Webデザインを学んでみようと考えるようになりました。

娘がミルクを飲んで寝ている数時間の間に、私にできることは何かないのか検索していくうちに「ママでもデザイン」といった種類の広告に気付くようになりました。そこで
産後3か月に入るか入らないかのタイミングで体験授業を受けて、産後半年から本格的に受講するようになりました。

日野さん写真提供

ー産後3か月に満たないタイミングで学びの場に出るとは早いですね!

そうですね、当時子育てで気が滅入っていたのを夫が近くで見ていたので、快く背中を押してくれました。週に1度の授業で1回あたり5~6時間なのですが、その間は夫に娘を託して、10名程の実地講座に2ヵ月通いました。課題も出たので帰宅してからは、娘が寝たタイミングを見計らって細切れ時間で課題に取り掛かりました。好きなことだったので復習をしたり、空いている時間の大半を当てて学習しました。

ー子育ての合間の学習は辛くなかったですか?

子育てだけという環境に気が滅入っていたので、新しい学びが入ることで気分転換になりました。子育てから気を散らすことで「私にはこれがある、将来のためにしていることがある」というのが心の支えになりました。振り返ると睡眠時間も短くて、本当に忙しかったのですが、学ぶ楽しさの方が勝っていましたね。

ー自分の時間がほしいという葛藤はなかったでしょうか?

それは産後も今も常にありますね。今も自分の時間が欲しいと常々思っています。娘がもっと寝てくれればなぁ、夫にもっと娘を見ててもらいたいなぁという気持ちも湧いてきます。でも「娘が寝たらやろう」と思って、思うように時間が取れないとストレスになってしまうので、娘が居るときは仕方ないと良い意味で諦められるようになってきました。自分の時間を確保したい時は夫の帰りを待ったりして、自分の中で折り合いをつけています。

時間が無いフラストレーションが原動力に

ー卒業後、すぐ仕事に就きたいと思ったのですか?

そうですね、学んだことを忘れないうちに仕事をしたいと思いました。

受講生の中にカフェのオーナーさんがいたのですが、私の卒業制作を見て「よかったらサイトを作成してくれないか?」ということで初めて仕事の依頼を頂きました。この仕事のおかげで卒業後すぐに実践的な仕事をさせて頂いたので、とても良い経験になりました。

ー初めての仕事はスムーズに納品できましたか?

ワイヤーフレームから作成したので、結構時間をかけています。学校で習っていなかった内容のオーダーで緊張しましたが、お客様と私は受講生同士という間柄ですので、知らないことを把握した上での仕事は相談もしやすく、大胆にチャレンジさせてもらいました。

▼日野さんが制作したサイトはこちら

https://forustyle.com/

ー初めての仕事の値段付けに悩みませんでしたか?

とても悩みましたね。今考えてみると、時給数百円で働いていたと思います。でも今後のことを考えるとポートフォリオに載せられる大きな仕事でしたし、稼ぐためではなく初心者が経験を積むためのとても大切なお仕事でした。

ー初めてWebデザインの仕事した感想を教えて下さい。

全体像、流れが実践で把握できたのが良い経験でした。最初のお仕事をした際に、お客様がエンジニアの方を紹介して下さりサポートして下さいました。また運が良いことに、そのエンジニアの方がまた次の仕事を紹介して下さったりと、私は本当に運が良いなと思います。現在もそのお仕事を業務委託で頂いていて、お客様との付き合いが続いているのが嬉しいです。仕事で関わる方とは自分から積極的にコンタクトを取るようにしていて、メンバーで飲み会にいったりUSJへも一緒に行きました。

ー計8回の受講で実践に移された行動力はすごいですね。

授業を受けて基礎を固められたのが良かったです。でも受講生の中には学生さんも多くいたので、卒業後すぐに働いているのか、実際にWebデザイナーの仕事に就いているかは分かりません。

私は子育てをしていて時間がないことにフラストレーションを感じますが、逆に子育てが無く時間に余裕があったら怠けていただろうなと思います。「転職しようかな」という気持ちでスタートを切ったら、やっぱり前職のままで良いと考えていたかもしれないです。

日野さん写真提供

ーその後の仕事はどのように受注されましたか?

知り合いからの紹介を頂きました。あと実は数日前に新しい仕事が決まりました!自分で応募して、ポートフォリオを見せて値段交渉をして受注したので、実力で勝ち取ったと言うのも大袈裟ですが、紹介ではなく面談を重ねて複数の候補がある中から決まった仕事なので今から楽しみです。

「好き」を仕事にできたきっかけ

ー専業主婦をしたいとお話されていたのが嘘のようですね。

専業主婦もいいかなと思っていたことも忘れましたね。仕事はとても楽しいですが、子育ては夫婦2人でするものだと思っています。どうしても仕事が立て込んでいるときは夫に娘と遊んでもらい、仕事が終わったら家族3人の時間を取れるように、なんとか調整しているのが現状です。仕事・育児・家事と、日々時間の割り振り方を模索中です。

今は仕事が楽しいので「専業主婦になりたい!」というよりは、主婦業だけではなく自分の仕事もできて楽しいな、と感じています。

日野さん写真提供

ー順風満帆に見える日野さんですが、苦労されたことは何でしょうか。

苦労したのは時間がないことですね。どう時間を確保するか考えなくてはならないのですが、もともとスケジュールを立てて行動することが得意ではなかったので、子育てして勉強してという生活に何度も限界を感じました。でも手は抜きたくなかったので、課題にはしっかり取り組みました。嬉しいことに、講師から課題の出来について褒めてもらえると、嬉しかったですしやりがいを感じました。独学でデザインについて学んでいたことを、学校で更に知識を深められている感触がありました。日々の生活で辛いなと思う場面はありましたが、それでも学びを続けられたのは「デザインが好き」という原動力があったからだと思います。

ー産後の新しい働き方は、過去の自分が理想としていたものでしょうか。

実は会社に所属してWebデザインの仕事をしたいと考えていたんです。先輩や同僚がいる環境の方が学びがあると思いますし、スキルアップも図りやすいのではないかと思います。あとは会社に所属していると、オンオフの切り替えがしやすいかと思ったんです。でも実際にフリーランスで働いてみて、これから働き方が変わる可能性は十分にあって、娘の成長も目まぐるしいので数か月後にどうしているか分からないですよね。なので理想の働き方を実現できたとは言えませんが、試行錯誤を日々繰り返していく中で、今の働き方にとても満足しています。

ー働き始めて家族との関わり方に変化はありましたか?

夫は私が仕事をしていることに反対はないのですが、やりすぎるのは良くないかなと思っています。家族との時間も大切にしたいので、週末は家族3人で色々なところへ出かけるようにしています。スケジュール管理は苦手なのですが、仕事とプライベートのバランスを取ることは気を付けています。

日野さん写真提供

ー今後の展望、チャレンジしたいことをお聞かせください!

娘の成長によって働き方も変わっていくと思うので、ある程度の働き方の制限は受け入れてバランスを取って続けていきたいですね。

今後はデザイン会社と組んでのお仕事、他のデザイナーさんと組んでのお仕事をしてみたいと考えています。そこでデザイン仲間も増えると嬉しいなと思っています。
仕事の幅を広げたいので、ジャンル問わず色々な仕事に挑戦して行きたいです。まだベテランという域ではないので、私自身のスキルアップも意識して色々取り組んで行きたいです。

ー何か新しいことを始めたと考えている方にメッセージをお願いします

やってみればなんとかなります!始めてしまうと止まれないですし、出来なかったら出来ないでいいと思うんです。なんでやらなかったんだろうという後悔が残ることが一番もったいないと思うので、トライしてみて好きなことや打ち込みたいことを見つけるのはどうでしょうか。

日野さん写真提供

編集後記

子育て中の筆者ですが、産後2ヵ月の自分が思い出せないくらい辛く疲労を感じる日々だったと思います。そんな時期に「新しいことをしたい」と思い、実行に移した日野さんの行動力に驚きました。でもお話を伺う中で、日野さんの目の前のことに全力投球する姿勢が、色々なきっかけや新しい出会いを引き寄せているんだなと思いました。
「好き」を仕事にしたい方、是非日野さんのアドバイスのように興味のあることを始めてみて下さい!

日野さんへのコンタクトはこちらから
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