世の中にないものは自分で作り出す エプロン事業で起業 | 加藤なぎささん

 

加藤なぎささん | 株式会社エレグランス代表取締役/「一枚のエプロンが作り出す心豊かなライフスタイル」「洗濯機で洗える100%シルクインナーTAMAMONO」をお客様にお届けする会社を経営/お二人の娘さんを育てるワーママ

子供がいても、キャリアを様々な形で積み上げ続ける女性が増える現代。

そのスタイルは人それぞれで、会社員として、女性起業家として、パラレルキャリアの形で、といったように、多様なスタイルでの働き方が当たり前になりつつあります。【Molecule(マレキュール)】の読者の方の中にも、どんな働き方が自分のスタイルに合っているのだろう、と考えている方は少なくないのではないでしょうか。

今回、ご紹介する加藤なぎささんは、可愛くて気分があがるエプロンでママ達が元気に楽しく家事ができるように、という思いでビジネスをスタートされ、現在はシルクの素晴らしさを伝えると共に、日本の養蚕業も残していきたいという社会事業家としての側面もお持ちです。さらに、お子さんの学校のPTA活動も含め、子育てにも真正面から向き合っている真っ最中。二人の娘さんを育てながら、会社経営者として奮闘されている加藤さんにお話をうかがいました。

介護や保育の現場で広がるオーダーメイドエプロン

―エプロンやシルク事業を始めようと思ったきっかけや、事業に対する思いを教えていただけますか?

会社にして7期目、創業自体は2009年からで、株式会社エレグランスの前身となるエレグランスから始まって12年目です。

やっていることは3つ、ご家庭用のエプロンの直販、そしてブランディングに沿ってお作りしている制服としてのオーダーメイドエプロン事業、最後にシルクのインナー事業です。シルクの事業はもともとエプロンの生地探しから、シルクという素晴らしい素材との出会いがありました。素晴らしさを活かすにはエプロンではなくて肌により近いところで身につけていただきたいと思い、赤ちゃん用の肌着を作ったのが出発点です。肌が弱い方にも使っていただけるマスクも作っています。

どれがメインの事業かとよく聞かれるんですが、実はオーダーメイドのエプロンを弊社は一番力を入れて作っています。保育園、幼稚園、介護施設からのオーダーが多く、働いている人を大事にしたいという事業主さんの思いを形にしています。

最近では介護や保育は人が辞めやすく、環境がハードな部分もあり、かわいいエプロンや素敵なエプロンでやる気を出してほしい、職場全体を元気に楽しくすることで、利用者さまにも気持ちよく過ごして頂きたい、といった温かいモチベーションで依頼してくださる方が多いのです。

また、お散歩時にもエプロンを身に着けている中で、地域への認知を広げるために、エプロンで団結感や温かさを外に向けて発信していく歩く看板的なもの、そういった役割を求めてオーダーを依頼してくださる方が多いですね。

加藤さん写真提供

「世の中にないものは自分で作り出すしかない」 起業家マインドのルーツは祖父にあり

―妹さんと今の事業をスタートされたとのことですが、自分達で事業をはじめようと思ったきっかけはありますか?

まず私たち姉妹は九州出身で、結婚して子供が生まれても会社勤めを続ける、という女性の仕事のスタイルがあまり身近になかったんですね。

それに加えて、私は大学卒業後、新入社員として入社した会社でずっと勤め上げたわけではなく、入ってすぐソフトバンクホークスのチアガールとして就職して、日中はOLをしながら練習して応援をしていました。

その後に入った会社も正社員ではなく、派遣社員として働いていて、その時に働きぶりを認めていただけて、東京の広報で契約社員として働くことになったのです。

そういう状態だったので、結婚を機に専業主婦になるために会社を辞めたけれども、積み重ねたノウハウと仕事への情熱をあまりにも持て余しすぎていたことと、どこかの会社で働く考えはなかったことが、自分達で事業をはじめる流れにつながったと思います。

また、主婦になり、お料理などのモチベーションアップのためにかわいいエプロンを探してみたんですけれども、当時日本製で質が良く、かわいいエプロンがなかったんです。

輸入ものでかわいいものはあっても、色落ちしてしまったり、日本人の体形には合わないサイズだったりしたんですね。ないのであればじゃあ、作ろうか、ということでエプロン屋をはじめました。世の中にないものを作り出すためには、自分達でやるしかないと思ったんです。

―世の中に無いなら自分達で作ろう、という起業家マインドは加藤さんの生い立ちの中で生まれたものでしょうか?

祖父が起業家だったんです。警察官だったけれども戦後食糧難もあって甘いものが食べられない時代に、甘いものを食べさせてあげたいと和菓子屋を開いていたんです。そこに生まれた父、他に姉が3人いて、当時の女性では珍しくそれぞれ手に職を持っていたのです。一番上がスパイスの研究家、二番目が英語の先生、三番目がパッチワークの先生。

ルーツは祖父にあって、そして叔母達の女性でもやりたいことや特技を活かす仕事をしていたこと、また、家庭を大事にした働き方を見ていた影響があるのかもしれません。

―なるほど。ところで、起業する時に考えれば考えるほど不安になって行動になかなか移せない人も多いかと思うのですが、加藤さんは、不安はありましたか?

実は全くなかったし、誰かに起業の方法を聞こうとも思わなかったんです。

起業の方法を「学ぼう」と思ったら、起業にはもしかしたら向いていないかもしれません。私はみんなが起業すればいいとは全く思っていないんです。

昨今はママ起業という働き方が注目されているように思いますが、ママでも仕事をするのが良いとも思っていないし、それが幸せだとも思いません。みんながみんな、ママでも起業、ママでも仕事というのは、逆に不幸せになることもあるのでは、と。

幼馴染の大親友に、仕事が忙しい時に手伝ってほしいといったことがあるんですけれども、「全然興味ない、子育てがすごく楽しくて、子育て以外したくない」と彼女は言っていたんです。

私は彼女のその言葉がすごく大好きで、プライドを持って子育てをすることは立派な仕事ですし、何も引け目を感じる必要はないし、私はママでも起業や仕事といった風潮は少しおかしいんじゃないかな、と思っています。

起業すると、実際に事業の荒波を乗り越えていくことは本当に大変なので、やらないのであればやらないほうが良いと思っちゃいますね。本当に腹を据えて、人生をすべて投じる覚悟がなければ、と。

私の今のフェーズで言えば、私がもしもこけたら家族の生活も立ち行かないし、本当に家族の生活を守るために、主人の馬力と私の馬力のどちらも欠かせられないというプレッシャーの中でやっています。だから、起業することに最初から迷いがあるのなら、違う方法を考えるほうがいいのかもしれないと、そんなふうに思います。

事業をドライブさせながら家族と共に歩む ライフスタイルのポイントは

加藤さん写真提供

―子育てと仕事の両立は大変だと思いますが、子育てをしながら、どう仕事と向き合っていらっしゃいますか?

私の場合は主人がいないと成り立っていないんですよね。

仕事は限りがなければ何時まででもやりたいんですけれど、10時から始まって6時にはお迎えに行かなければならない。朝、子どもの送りを主人がやってくれるから時間が取れるし、土日でも主人が見ていてくれればお客様との面談の時間をとることが出来ます。

時間の調整がとれるのは主人のおかげであり、感謝していますし、恵まれているなと感じますね。

―時間の作り方ややりくりはどうしていますか?忙しい中で、どんなことを大事にされていらっしゃいますか?

取捨選択ですね。家庭でも事業的なことでも、やることは最低限しかしない。時間のやりくりについては、朝、横になったままブログを書いたり更新したり、1分たりとも無駄にせずに動いているかな、と思います。

家庭のことは分担をしつつ、洗濯物はソファーに置いておくので各自取っていってくださいといった、ある程度の手抜きをしたり。完璧にやろうと思っていないことが大事かなと思います。

また、ご飯だけはバランスの取れたものをちゃんと作るようにしています。夜の8時とかになってしまったとしても、ご飯、味噌汁、主菜、小鉢1つや2つは必ず作ることは、大事にしているところだと思います。

それと、平日は目一杯仕事をしていますが、土日は家族と過ごすと決めて、出来るだけ何も予定を入れないようにしています。家族と公園にピクニックに行ったり、のんびりしていますね。

加藤さん写真提供

―自ら理想的なライフスタイルを作り上げていくポイントは何でしょうか?

私の場合、今の幸せは仕事をがむしゃらにすることで作り出しているので、人それぞれ、何を望むかによると思います。私は仕事場に近い環境に住所を置いて、移動の労力を減らした分、家族との時間を出来るだけ増やして、そのために生活に必要な経費は自分で稼いで還元しています。

一方で、コロナによる自粛期間で、そんなに頑張らなくても幸せを得るスタイルがあることも感じました。だから望むスタイルがどこかで変わる可能性もありますね。今は畑を耕しながらのんびり家族で過ごすといったところに幸せを感じないけれども、もしかしたら数年後はそう思ってその道を歩んでいるかもしれないです。

今は事業でかなえていきたいことをかなえるための歩みと家族との時間を幸せにするための歩みと、両方を実現するために必死に前に向かって進んでいます。

それで何とかライフスタイル、トータルバランスが成り立っていて、今、どれを欠いてもいけないという感じなので、このまま進んでいきたいと思っています。

加藤さんが販売されている商品の詳細はこちらに

・毎日を笑顔にするおしゃれなエプロン エレグランス
http://elegrance.com

・洗濯機で洗える100%シルク肌着「TAMAMONO」
http://tamamono.co.jp/

関連記事

あわせて読みたい
産後2ヵ月でキャリアのきっかけをつかむ フリーランスWebデザイナー・日野美理さん 損保の事務を3年、結婚を機にジュエリーメーカーへ転職した日野美理さん。ジュエリーメーカーでは広報担当として3年勤務されました。出産で...
あわせて読みたい
暮らしに芸術を、キッズクリエイティビティがもたらす無限の可能性を届けたい【前編】 |My little days主催 太田さちかさん「芸術」というと何を思い浮かべますか?美術館、演劇、クラシックコンサート・・・人によって捉え方は様々だと思います。でも実は、季節の移り変...
あわせて読みたい
3児の母として、フリーランス5年→法人立ち上げの中で見つけた「ママ同士の心が触れ合うコミュニティを作る」という目標 | 合同会社MAPS 代表社員 岩堀真弓さん 第一子出産後、保育園に預けられずフリーランスの道に進み、現在は3人の男の子を育てながら、プランニング会社を経営、数多くのママ向け...