「ここにいるから、ここまでしかできない」地方で働く人、子育て中の社員、そして企業。私たちは環境を理由に、自らの可能性に限界を設けてしまいがちです。しかし、その限界は本当に越えられないものなのでしょうか?営業支援を核に、人事・財務課題の伴走型支援を手がけるエッジコネクション。2007年の創業から、同社は「できない理由」を探すのではなく、「できる方法」を考え続けてきました。テクノロジーの活用と独自の制度設計により、地方にいながら都心の仕事に携わり、子育てしながらキャリアを築き、働きやすさと成長を両立する ―― そんな「できない」を「できる」に変える挑戦を続けています。「人は、与えられた環境に左右される。だからこそ、環境づくりにこだわる」2025年、新たな年の始まりに同社の代表を務める・大村康雄さん(以下、大村さん)に、企業と個人が共に成長するための新しい働き方についてうかがいました。「できない理由」を「できる方法」に「起業で生きていくのは楽しい」そう語る大村さんのキャリアは、学生時代の起業に始まります。宮崎県延岡市出身の大村さんは、大学進学を機に上京。学生時代に起業するも成功には至らず、一度は大手外資系銀行への就職を選びました。しかし「24歳なら失敗してもやり直せる」という思いから、2007年、銀行時代の同期4人と共にエッジコネクションを設立します。本社は現在も東京にありますが、2015年2月に宮崎県延岡市にインサイドセールスセンターを開設、2023年3月には福岡支社を設立と、着実に地方での事業基盤を広げています。大村氏の心には常に「地元への貢献」という想いがありました。「できない理由を探すのではなく、どうすればできるかを考える」という姿勢は、現在の経営にも通じています。楽な仕事と働きやすさは違うエッジコネクションには「仕事とプライベートを両立させ、生きるために働くということを忘れないようにしよう」という行動指針があります。これは、決して「楽な働き方」を意味するものではありません。「就業時間の中で成果を出すには、一人ひとりの成長が不可欠です。そのために私たちは、成長できる環境としてークライフバランスを重視しています」と大村さんは説明します。月間30時間以上の残業禁止や20時強制退社を実施する同社は、適切な金銭的報酬の重要性も強調します。「『お金より働きがいが大切』という考え方もありますが、働きがいだけで生活を支え、仕事とプライベートを両立するのは難しいでしょう」。その考えを具現化したのが、社内発注制度です。「営業一人では仕事を完遂できません。内勤の方々のサポートがあってこそ、実現する。だからこそ、その貢献を適切に評価し、還元する仕組みが必要なんです」この制度では、営業が獲得した案件の売上を、その仕事に関わる社員全員で分配。例えば100万円の案件なら、営業担当者に50万円、サポート担当者に25万円ずつといった具合です。さらに、休暇取得者の仕事をカバーした社員には1.3倍の単価が支払われます。「休んだ人をカバーすることで、むしろインセンティブが得られる。そうすることで、子育て中の社員の急な休みにも、周囲が積極的にサポートできる環境が生まれています」成長の実感が、次の成長を生む「社員一人一人が提供価値そのもの」という考えのエッジコネクションでは、人材育成に力を入れています。3ヶ月という比較的短いスパンでの人事評価、2週間に1回という高頻度の上司からのフィードバック。適切なタイミングで的確なフィードバックをすることで、社員は自身の成長を実感でき、それが次の成長への原動力となっています。長く働くのではなく、限られた時間の中で最大の成果を出す能力を育てることこそが、本当の意味での働き方改革だと大村さんは考えているのです。家族がいるから頑張れる3人の子を持つ父である大村さんにとって、家族は経営者としての原動力にもなっています。「家族がいるからこそ、常に成長し続けなければならない。ここを下回ったら恥ずかしい父親になる、という最低ラインを示してくれるのが家族なんです」と大村さんは語ります。一方で、「親の稼ぎが少ないから大学に行けないなどと子どもに言わせたくない。でも、それは必ずしも長時間労働を意味するわけではありません。限られた時間で成果を出し、家族との時間も大切にする。それが次世代に示すべき働き方だと思うんです」実際、大村さん自身も朝食や夕食の時間を家族と共に過ごすことを大切にしています。「だいたい朝は7時半に家を出るのですが、子どもたちは10分後くらいに出発しますから、朝ごはんを食べていれば自然と顔を合わせる時間になります」。夕食も同様です。「20時退社の制度は、経営者である私自身が守っています。おかげで、仕事の用事がないときには『もうご飯終わっちゃったよ』という時間に帰ることはほとんどありませんね」このように家族との何気ない日常を大切にする姿勢は、社内の制度設計にも反映されています。子育て中の社員が早退する際も「お互い様」という雰囲気が自然と生まれているのは、経営者自身が家族との時間を重視している表れかもしれません。2025年、さらなる挑戦へ2025年の目標として掲げる「社員数1.5倍」。これは単なる数字目標ではありません。「人が増えれば、自然と売り上げは伸びていきます。なぜなら、私たちの商品は“人”だから。一人ひとりが成長し、活躍できる環境をつくること。それが経営者としての私の責務だと考えています」また、地方創生への想いも一層強くなっているといいます。「地方には可能性がある。テクノロジーを活用し、適切な環境さえ整えれば、地方でも充実したキャリアは築ける。そのモデルケースになりたいですね」環境を制限ではなく、成長の機会に変える。そんな働き方改革は、地方からも、そして一人ひとりの成長からも始められる。エッジコネクションの挑戦は、日本の働き方を変えようとしています。そこには、誰もが自分らしく成長できる社会への展望が示されているのです。株式会社エッジコネクション