「子どもが野菜嫌い」「好きなものしか食べない」——こんな悩みを抱える親は少なくありません。頑張って作った料理を食べてもらえないのは悲しいものです。子どもの発育への影響も心配になります。奈良県在住の竹本芙美子さん(以下、竹本さん)も子どもの偏食に悩む一人でしたが、解決策を見つけます。食事に青汁を取り入れたことで、食事づくりが楽になっただけでなく、働き方も変わったのです。彼女のストーリーから、「仕事か家庭か」の二者択一に悩む人を楽にするヒントを紹介します。偶然の一言が生んだ青汁開発の原点元々、生活雑貨の企画やデザインをする会社で働いていた竹本さん。出産後育休を取得し、復帰したものの「娘がバナナとうどんしか食べなくなって、本当に困りました」と振り返ります。育休から仕事に復帰したばかりの忙しい日々。子どもの栄養バランスの偏りが気になり、イライラが募る日々が続きました。そんな中、ママ友の何気ない一言を耳にします。「コーンにもっと栄養があればいいのに」。この言葉から、竹本さんは「食べるものに栄養を足す」という発想に至り、青汁の開発に乗り出しました。子どもも大人も満足 青汁3つの特徴「ないなら作っちゃおう」この精神で生まれた青汁は、子どもにも飲みやすい味わいながら、栄養価も高いのが特徴です。開発にあたっては、健康食品の開発に携わっていた夫の経験が大きく役立ちました。何度も試作を重ねた後、安全性を担保するため、現在は健康食品GMP工場に依頼して製造しています。竹本さんの青汁には、3つのこだわりがあります。こだわり① 砂糖不使用「子どもが好きなジュースや甘いお菓子には、すでに十分な砂糖が含まれています。また、砂糖を入れない方が、料理にアレンジしやすいんです」と竹本さんは言います。やさしい甘みなので普段のレシピに加えるだけで栄養価が上がるとても簡単な方法です。ピザ、おにぎり、お茶漬けなど、工夫次第で飽きずに続けられます。実際、竹本さんも料理に青汁を使っているとか。こだわり② 大麦若葉を使用2つ目は原料に大麦若葉を使っていることです。「青汁の原料に多いケールや明日葉(あしたば)は、少しくせがあります。その点麦茶の若葉である大麦若葉は、くせがなく、栄養価も非常に高い」と竹本さん。子どもに飲ませやすいという点で、最適な素材だと感じたといいます。こだわり③ ごくごく飲める3つ目はおいしさへのこだわりです。ほうじ茶やかぼちゃ、さつまいもなどなじみのある素材をブレンドし「赤ちゃんもおかわりする青汁」を実現しました。「コーヒー、お茶、青汁の選択肢があって『今日は青汁を飲もう』と思えます」と竹本さんは胸を張ります。サラダより青汁 罪悪感からも解放竹本さんの挑戦は、商品開発にとどまりません。彼女の真の目標は、働く子育て世代の負担を減らすことです。「1日3食、栄養バランスを考えて作るのは大変なことです。ましてや作ったものを食べてくれないとなると、親の身体的、心理的負担は相当大きくなります」と竹本さんは指摘します。「サラダを無理やり食べさせるより、青汁を飲ませる方が気持ちの上でも圧倒的に楽なんです。栄養価の高い青汁なら、楽をしていても罪悪感から解放されるのではないでしょうか」働くことはもっと自由でいい竹本さんの挑戦は、働き方にも新たな視点をもたらしました。結婚や出産、介護など、生活環境の変化で、転職を考える機会が何度かあるでしょう。その際に「仕事に行くか、あきらめるか」の二択ではなく、自ら仕事を作り出す道を選んだのです。ないなら作る起業前の竹本さんは、仕事と育児のバランスに悩んだことがありました。「奈良県は大阪や京都での県外就業率が高いという事情があります。私も車で片道約1時間の通勤をしていました。時短勤務でも仕事量は多いし、次第に勤めることが難しいと感じるようになって、株式会社mashichoiを立ち上げることを決めました」自分で仕事を作ることで心の余裕が生まれ、子どもとの時間も確保できたと言います。収入の組み立ては1本じゃない思うような仕事先が見つからないなら、「仕事を作る」のも選択肢のひとつなのでしょう。「働くことは、もっと自由でいい」と彼女は語ります。「会社員として働いた場合の月収が30万円だとします。その30万円はどのように準備してもよくて、起業で10万円、他の仕事で20万円でも構わないですよね。私自身もリアルなところで言うと、会社の仕事以外に他の仕事をしています」。竹本さんは、同じ保育園のママ友で、働くことをあきらめた人を何人も見てきたと言います。「でも、仕事は『行くか、あきらめるか』の二択ではないんだということを伝えていきたいです。起業したい子育て世代を応援する活動もしたいと思っていますし、将来的には子連れで出勤できるような職場を作りたいと考えています。目指すはフィンランドの議会ですね」食で親に心の余裕を作り出す竹本さんが大切にしているのは、「親に時間の余裕があること」。「働く子育て世代が負担に思うことは人それぞれですが、食の悩みは根深いと思います。子どもの健康に直結することなので。家事代行サービスのように親の負担を減らして、時間を作る活動ができたらと考えています」今後の展望として、食に関するイベントやマルシェなどを開催し、自然農法を実践する農家とコラボレーションなども視野に入れていると言います。「食を通してのアプローチ」で、働く子育て世代の生活をより豊かにしたいと考えているのです。便利さを味方にする「子育ては大変だけど、けっして大変なことが良いわけではありません」そう竹本さんは力強く語ります。「子どもに青汁を飲ませることで、食事の準備が楽になり、私自身肩の荷が下りたような気がしました。心に余裕が生まれて、家庭の雰囲気も良くなる。『楽すること』に罪悪感を持たず、自分の心に余裕がある状態を大切にしてほしいです」彼女の青汁は、働く子育て世代の強い味方になってくれることでしょう。便利なものを上手く日常に取り入れ、楽に楽しく毎日を過ごす。そんな生活スタイルがより多くの家庭に広がっていくといいですね。株式会社mashichoi