政府が定める「未来投資戦略」では、イノベーション創出力強化に向け、ベンチャーキャピタル(VC)投資額の対名目GDP比を倍増させて、2023年までにユニコーンor上場ベンチャー企業を20社創出することを掲げています。政府がこんなに公にイノベーションを起業家に求めているってことは・・、既存企業はイノベーションが起こりにくいと言っているのと同じでは?!(苦笑)しかし、確かにそうで、変革は「中」からは生まれにくいと感じます。一方で、超大手企業の若手の営業女性が、異業種混合研修でコロナ禍にも動じないイノベーションを起こしています。今回は、「変革は、【社外】や【副業・複業】によって生まれやすくなるのではないか?」ということを考察したいと思います!コロナ直前に見た「変革屋の変革」で、イノベーションの本質を垣間見た変革屋「チェンジウェーブ」の名物研修の一つ『新世代エイジョカレッジ』「営業職の女性(エイジョ)の9割が入社10年以内に現場を離れてしまう」 「結婚、出産を経ても営業という仕事を続けていくことは不可能なのか?」【Molecule(マレキュール)】の読者の皆さんの中にも、営業職をされている方は多いと思います。「営業」という仕事は、どんな事業でも欠かすことのない機能の一つだと感じますし、実際に職種全体の人口は膨大です。しかし一方で、「女性」×「営業」と考えると、実はそのキャリアはとても課題が多いものなんですね。 そんな社会的課題に立ち向かうために2014年にスタートした新世代エイジョカレッジ(通称:エイカレ)は、変革屋として名高いチェンジウェーブ社が手がける異業種混合で行われる若手の営業女性に向けたオリジナル研修。研修の中では、「実証実験」と呼ばれる、「自分たちのビジネスでガチのトライアルを実施して効果測定してこいや〜」という取り組みがマストでついているので、実用的な変革が生まれる仕組みになっています。 このエイカレから、これまでも数々のイノベーションが生まれています。▼育児中のパパママになりきる「なりキリン」制度 byキリンホールディングス株式会社https://www.huffingtonpost.jp/entry/kirin-narikirin_jp_5ce4b0cce4b0547bd12ed0ea ▼子育て中ママもキャリアアップが目指せる!「転居を伴わない転勤」制度 by 三菱地所プロマティマネジメントhttp://eijyo.com/report/2020report2.htmlそんなエイカレ2019年度のフィナーレ・イベントの取材の仕事のお声がけを頂いたのは、奇しくも新型コロナ感染症の世界的感染拡大が始まる直前の、2020年の年初でした。私の古巣・リクルートでも、チェンジウェーブの研修はよく耳にしていまして、私自身は参加する機会がなかったのですが、ここ最近、私の中で『変革』というキーワードがHOTになっていたので、二つ返事でお引き受けし、2月にフィナーレ・イベント「エイカレ・サミット2019」へ。約半年間のプログラムを通じて生まれた変革を表彰する場「エイカレ・サミット」 私・もりたあやこが寄稿したイベント・レポートはこちら(http://eijyo.com/report/summit2019.html)コロナの波が押し寄せつつあった中で、万全な感染対策をして向かったエイカレ・サミット2019でしたが、コロナ渦に入る前に行くことができて、本当によかった! 立命館アジア太平洋大学(APU大学)学長の出口治明氏を特別講演に招き、少子化ジャーナリストの白河桃子氏や中央大学大学院教授・佐藤博樹氏のパネルディスカッション、経産省・経済社会政策室長などの有識者の方の挨拶があったりと、実に面白いイベントでした。今年で7期目を迎えるエイカレと、エイカレが生み出してきた数々の変革を眺めているうちに、「イノベーションの本質とは何か」が急に閃いたんです!! そして、エイカレからインスパイアされた「当たり前を壊すことで変革が生まれる!」という気づきが、私自身の「withコロナ」を支えていると感じます。エイカレから見えてきた「変革が生まれる条件」森田分析「エイカレのイノベーション・エンジン」エイカレのような異業種混合の研修は、他にもあるっちゃーあるんです。しかし、なぜエイカレは、これだけ高い確率で「Practicalなイノベーション」を生み出すことができるのか?その理由を、私なりに分析して見ました。エイカレがイノベーション・プラットフォームとして秀逸である理由【条件1】異業種他社の集団である 自社を出ることで、自分の役割&役職を超えることができ、「空気のように当たり前と思ってしまっていた自社の当たり前=囚われ」に気づける【条件2】アクション・プロジェクトベースのプログラムである 仮説と打ち手を立てた後、「実証実験(=自社のビジネスの中で実際に検証してみる)」を行うことが必須とされているため、単なる研修ではなく言い換えるなら実践的なR&Dを行うプロジェクトのような仕立てになっている【条件3】参加企業の経営コミットメントを引き出している 実際のビジネスの現場で「実証実験」を実施するためには、管理職や経営層を巻き込んでいかなければならず、必然的に「ボトムアップの経営コミットメント」が引き出せる仕組みになっている。このような3つの条件を揃えていることが、「なぜ、エイカレは、高い確率でイノベーションを生み出すことができているのか」という要因と分析いたしました!扱っているテーマ自体が、自分たちが日々モヤモヤ悩んでいること、すなわち、「この仕事をこのまま続けていって、私大丈夫かな?」という問いに通じるものなので、おそらくエイカレに参加している現場の若手・営業女性たちは、当事者意識がすごく高い状態で挑んでいると思います。「す、、、、すごい・・。」と思いました。数々の研修を見てきたし参加もしてきましたが、人が本気を出す(言い換えると、本気出さないとやばいと思わせられる)ための仕掛けがバッチリ設計されている。なおかつ!! 今、この激動の世の中において、多くの企業から求められている意義の高い変革が、実際にたくさん生まれているんですよね。イノベーションは「外」でなければ生まれない。ビジネスパーソンよ、『外学』or『副業・複業』に出でよ!エイカレの現場は、「このままじゃいけない!」という熱い熱気で溢れているさてさて。 企業の人事の方や経営者の皆さんは、こう思うかもしれません。「その研修、すごく良いね!!自社の中でも、グループ会社や部署横断の形式でやったらいいんじゃないか?」実際に、リクルートの中でもそういう研修がありまして、私も参加したことがあります。リクルートは大きな会社ですから、パート・アルバイトの求人広告を扱っている事業と、ホットペッパーなどのクライアントの販促広告を扱っている事業では全然やっていることが違うし、オフィスも別の場所だったりするので、「もはや、別会社って感じじゃないか」ということはあります。「そんな異業種のメンバーが集まって研修をすれば、イノベーションが起こりやすいんじゃないか?」と、当然、そう思うでしょう。 しかし!!! 実際には、その研修からは、何のイノベーションは生まれませんでした・・・。(;´Д`A数万人規模の企業であっても、社会全体からしたら「小国」です。 事業部の垣根を超えたって、そこで交わされる会話は、「●●事業の●●部長って知ってる?」「私は●●さんとずっと一緒に仕事してました」・・・みたいな、めちゃめちゃ内輪ネタです。また、いくら「役職や年次を気にせずフラットに」と言われたところで、同じ社内ですから、そんなわけにいかないっす。忖度(そんたく)まではいかなくとも、年次の上の人や、ある事業で手柄を立てているような人の意見に対して、自分の意見を被せて建設的な議論をすることは難しかったです。そして、「自分たちの当たり前を見直そう」と頑張っても、無意識に当たり前と思い染み付いてしまっている価値観に気づくことも至難の技です。 一方で、自分の会社を出て外に行き、「私の会社はこんな会社です」と自社紹介をしようとした時に、初めて客観的に自分の会社のことを考える機会になったという人は少なくありません。これは、自社の中でいかに工夫したとしても、なかなかプロデュースできる機会ではないと感じます。 異業種混合の研修に参加することや、副業・複業を行うことは、自社では得られないプライスレスな機会になると、今私は確信しております!どんな企業のどんな職種であれ、イノベーティブでなくて良い職種は存在しない時代に突入するでしょう。(あ、というか、もう突入してるかもしれませんね!) 自社にイノベーションをもたらすためにも、自分自身が進化していくためにも、『外学』・『副業・複業』をしていくべし!!【Molecule(マレキュール)】の読者の皆さまも、ぜひ「外」へ一歩踏み出していってほしいと願います!!