こんにちは!ドイツ在住の羽倉綾乃です。海にも山にもプラスチックのゴミが残り、気候変動による大雨や洪水も続き、世界レベルでは、アマゾンの森林火災を始め、山火事も多発している今の地球。そんな時、未来を担う子どもたちを目の前にして感じるのは、「わたしたちMolecule(マレキュール)世代にも、何かできることがあるのではなだろうか」ということ。前回に続き、環境とサステイナビリティに関して、綴って行きます。企業もメディアも語りたがらない。でも私たちが知っておくべきこと。突き詰めれば、私たちは生きているだけで環境に負担をかけています。二酸化炭素を吐き出し、水や食料を消費し続けて、ほとんどのゴミを土に還さず燃やしているのですから。私たちの多くは、肉やお魚を食べ、休みの日には車や飛行機で移動されていると思います。 時々はラテやタピオカを使い捨ての容器で楽しまれることもあるでしょうし、お土産のお菓子に2枚目の袋も必要になるかもしれません。忙しい毎日だからこそ、ホッと一息つけるお風呂を楽しみ、冷蔵庫からペットボトルの冷えたミネラルウォーターを取り出して。週末にはジップロックやラップをフル活用して、時短料理や作り置きの下ごしらえをして。そうそう、子供の着替えや水漏れ防止のビニール袋もストックしておかなくては。慌ただしい生活の中、このラップやジップロックがどこにたどり着くのか、今日食べたお肉やお菓子に入っているパーム油が原因で、熱帯雨林で何が起きているかを考えなかったかもしれません。地下水であるミネラルウォーターを採取し続けることの危険性も知らされないかもしれません。企業は利益が第一ですから、影の部分をコミュニケーションすることは、まずありません。 まずは自分がしている「環境破壊への加担」について自覚してみましょう。環境破壊と気候危機が科学的にも証明されている今、人としても親としても、「知らなかった」のままではいられません。世界の需要を満たすには地球がいくつ必要?日本の需要を満たすには日本がいくつ必要?Source: Global Footprint Network National Footprint Accounts 2019左は、国別に、「今の消費を満たすには、地球がいくつ分必要か」というデータ、右は「国民の消費量を満たすには、自国の資源がいくつ分いるか」という計算をしたものです。私たちの消費を賄うには地球が1.7個分、日本人の消費には日本が8個近く必要になってきます。 右のデータで日本や韓国が上位に上がっているのは、自国の資源が少なく輸入に頼っているからです。食品や石油、ガスなどの燃料など様々なものを他国から輸入に頼る私たちの国では「供給可能なものを消費する」生活からかけ離れている分、どれだけ「過剰消費」しているのか、気がつきにくいのかもしれません。足りない分は他国の資源から補い、今の生活を可能にしています。Source: Global Footprint Network National Footprint Accounts 2019 緑:プラスチック袋禁止 黄:有料化 オレンジ:自発的に有料化 紫:地域別に禁止日本はゴミ・エコ後進国?例えば、毎日お風呂に入るためには膨大な量の水や電力やガスなどが要りますよね。このような国は、世界のどこにもありません。海外から来た観光客は百円のお菓子のパックすら、個別に全て包装されていることに驚きます。濡れた日の傘を入れるプラスチックの袋、パン屋さんで一つ一つ別に入れてセロハンテープで止めてくれるサービスも無いのです。プラスチック袋に関しては、フランスを始めヨーロッパ、チリ、ケニア、オーストラリアなど多くの国がすでに禁止しています。サンフランシスコ空港では空港内のペットボトル販売が禁止になり、インドでも使い捨てのプラスチックを禁止しようとする動きがあり、ヨーロッパや北米では包装なしの食料や洗剤などの日用品が買えるお店もどんどん増えてきています。ゴミ問題以外の世界のトレンドとしては大人だけでなく子供達の菜食化も進んでいます(肉食と環境破壊の関係に関してはまた次の回で)環境負担を軽減するため、飛行機の代わりに電車を、自動車の代わりに自転車を使う動きが出てきています。自宅用のコンポストや、ミツバチや野生の昆虫を保護するための「昆虫ホテル」もお店で簡単に買えるようになりました。自宅や会社で使用する電力には再生エネルギーだけを選択する動きもますます盛んです。日本は残念ながら、小さなイノベーションはあるものの、未だ国民の大きな流れになっていない、という印象を受けます。私たちの出したゴミの行く末は。知らないふりをし続けますか?プラスチックごみを分別して回収している自治体は多いと思います。ではその中のどのくらいがリサイクルされるか、ご存知ですか?実はそのうち再利用されるのは10%~20%に過ぎません。 プラスチックのゴミは何種類もあり、また中にはまだ汚れているものも多く、人の手で丁寧に仕分けされ、洗浄されていくというプロセスに頼らざるを得ず、難しいのです。では、残りの80%はどこにいくのでしょうか? 私たちのゴミは大きな船に積み込まれ、外国まで旅をしていたのです。今まで私たちが出したゴミの多くを受け入れてくれていた中国が、2018年にプラスチックごみの輸入を拒否、そしてフィリピンやその他アジアの国々も後に続きました。そして現地で違法に焼却されたり、海に投棄されたりするケースも見られました。私の住んでいるドイツでもこの問題は無くなりません。今でも違法・合法含めて、プラスチックやその他の危険なゴミはブルガリアやポーランド、ルーマニアなどに運ばれています。そのあとはどうするのでしょうか?適切な処理の仕方など、ありません。無いから運ばれてきたのですから。現地のゴミ取引業者によっては、燃やしてしまうことが一番簡単で割安です。去年も大規模な火災が起き、住民の間に大きな健康被害が出ました。「一応もらっておこう」で持って帰ったビニール袋、「断る前に袋に入れられていた」使い捨てのストローや食器が、こんな大きな影響をもたらすのです。プラスチックは何百年も土に還ることなく存在し続けます。貰い手がなくなった今、自治体は大慌てです。埋め立て地もこのままではすぐに埋まってしまいます。中国以外にゴミを輸出する国を探したり、国内のリサイクル技術を高めたりするなどの努力をしてはいますが、毎日溢れるゴミのスピードにはとても追いつきません。海や土壌へ投棄するという違法ビジネスも増えてきてしまいます。私たちはリサイクルをすればなんとかなるという、リサイクルを信じ過ぎていた、というところがあった気がします。でもどうやってリサイクルするのか、どのくらい可能なのかを知ろうとしなかったのです。「他の人も同じ」「私一人じゃ変わらない」から卒業しましょう。世界では一分間に100万本のペットボトルが消費されます。日本では一分間に4万4000本と言われます。これを来月から半分にすることなら、一年かけて1/10くらいにすることくらいなら、できる気がしませんか。マイボトル持参の動きもありますし、最近では無料で給水できる場所を探せるアプリなども出てきています。 会議で出されるペットボトルの飲料も「持参していますので、結構です」と一言付け足せば良いのです。私はマイボトルとマイバッグ、そしてマイタッパーも持ち歩くことが多いです。日本でもお肉屋さんのコロッケやパンを入れてもらいました。最近だとマイストローも見かけるようになりましたね。私たちの消費者としての「力」をフル活用しましょう。私たちの買い物一つ一つが企業のマーケティングです。傷のない野菜ばかりを選べば、生産者は農薬を多用し続けるでしょうし、過剰包装の商品を買えば、それも生産され続けます。タダでもらえるノベルティや飲食店のおもちゃをもらい続けることですら、それは私たちの「YES」になります。貰ってくれる人がいる限り、使い捨ての食器もおもちゃも袋も無くなりません。また、サステイナブルな努力をする企業や生産者から買い物をすることも大きなサポートになります。情報が容易く入るようになった今だからこそ、よく考えて、私たちのお金は環境への投資だと思って選びましょう。AYANOHAKURAでは100%古着から再生した素材でできたTシャツを販売予定です。「Because your choice matters(あなたの選択が大事だから)」とのメッセージを入れました。ご予約・お問い合わせはこちらまで。お待ちしております!参考データ:https://www.huffingtonpost.jp/wwf-japan/earth-overshoot-day_b_5689913.html https://www.footprintnetwork.org/2018/07/23/earth-overshoot-day-2018-is-august-1-the-earliest-date-since-ecological-overshoot-started-in-the-early-1970s-2/ クローズアップ現代 ペットボトルごみがついに限界!?〜世界に広がる中国ショック〜 https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4126/ 【2019】日本のリサイクルの現状がヤバい!プラスチックゴミの問題点「ペットボトルは燃やしてもリサイクル!?」 https://22nd-century.jp/environment-issues/japan-3type-recycling/ ネスレvs.ヴィッテル村「水資源」めぐる泥沼闘争の行方 https://courrier.jp/news/archives/152876/ 【環境】世界で広がる水不足 〜日本の水は本当に安泰なのか?〜 https://sustainablejapan.jp/2014/07/10/water-and-japan/11050前回の記事はこちらから遠いどこかのことから、自分のことへ。 「わたしたち」が変えていく。環境破壊と日本の社会