日常の買い物に、子供の送り迎え。家族の休暇に自分の出張。車であれ飛行機であれ、Molecule(マレキュール)世代の私たちの移動手段はほとんどの場合、大気汚染につながります。私たちでもできる、ちょっとした工夫と心がけをヨーロッパのトレンドを混ぜながらドイツ在住の筆者の目線でご紹介していきます。飛行機で旅行なんてカッコ悪い ヨーロッパでは誰もが知る「フライトシェイム(飛び恥)」「フライトシェイム(飛び恥)」とはスウェーデンから始まった、若者を中心に、飛行機に乗ってCO2を大量に排出する産業に加担するのは恥だとする運動です。欧州では、今や誰もが知る言葉となり、民間だけでなく、大企業も国も動き始めています。フランスでは昨年8月に、フランス国内の空港からの航空便を対象とする環境税を導入し、その収益を鉄道網や、その他の環境に配慮した輸送機関に再投資すると発表しました。 ヨーロッパでは他にも数ヵ国で、飛行税の導入や増税が行われ、オランダ政府は、EU全域での飛行税の導入を求めて働きかけています。つまり飛行機を乗る人は余計に多く出費することになり、その分のお金は電車やバスの会社に投資されるという大胆な政策です。航空会社のなかには、「飛行機をあまり使わないように」というメッセージを出しているところまで出てきました。 KLMオランダ航空は先日発表した広告で、「責任ある飛行機利用を考えましょう。代わりに鉄道は?」と、飛行機以外の輸送手段すら提案しています。先日私が利用したスカンジナビア航空(SAS)は、燃料を減らすために、機内での免税品販売の終了や、機内食の事前予約システムの導入をしていました。なんて合理的なのだろう、と感心しました。また細かいことですが、イヤホン、スリッパ、化粧水など機内でオファーされるものもなるべく使わないようにしています。水筒を持って行けば、旅行先で活躍するだけでなく、機内でもプラスチックや紙コップの代わりに、直接水筒に入れてもらえます。オーストリア航空では、回収したプラスチックカップを燃料にリサイクルそうです。が、リサイクルするにも手間やコストがかかります。使わないのが一番!ぜひ積極的にマイ水筒持参でいきましょう。子供も楽しい! ママたちで流行り始めた「自転車ランチ」でどこまでも旅行先も観光手段は自転車で!どんな乗り物よりも街の雰囲気を味わえます。チャイルドシートも装備しているところが多いので、みんなで楽しめます。ガイドさんつきのツアーもお勧めです。最近ママ同士で「自転車ランチ」をはじめました。それほど遠く無い場所、5km圏内を目安に場所を決め、その日は自転車で集合するのです。 お腹が空けば、美味しい食事もさらに楽しめるし、例え食べ過ぎたとしても、食後に自転車を漕いでカロリーを消費すれば罪悪感はありません。お店の人も面白がって自転車に乗ったママ集団を快く迎えてくれます。小さい子供たちを持つママたちに人気なのは、写真のような自転車につけるトレーラーと呼ばれる荷台です。自転車と最初から一体になっているものは、子供を4人まで乗せることもできます。子供だけでなくペットや買い物の荷物、サッカーやバレエの荷物、全て運べるのでとても便利ですよね。日本では自動車専用道路の不備もあり、普及にはもう少し時間がかかるかもしれませんが、この荷台つき自転車で表参道や六本木を走ったら、すごくかっこいいと思います!(笑)シェア自転車の数も多いですが(日本でも少しずつ普及し始めましたね)、それ以上にどんどんシェアを伸ばしているのはこちら!電動キックボードです。Limeをはじめとするこのサービス、ヨーロッパのどこの都市でも大人気です。シェア自転車は、置き場まで取りに行く必要があり、運が悪ければ、すべて貸し出されていることもありますが、こちらはアプリでその辺に転がっている電動キックボードを容易に探すことができます。 また自転車だと、服装や性別(女性には車体が若干大きくかつ重い)を選びますが、キックボードはそれがありません。スーツでもミニスカートでも気軽に使用できるのは魅力ですね。とは言いつつも、お子様が小さくて自転車に乗れない時期は、日本でも普及が急速に進んでいるカーシェアリングもお勧めです。欧州でカーシェアリングはとても普及し、今なお成長し続けています。BMWやMINIのスタイリッシュな車種で人気の「DriveNow」や、2人乗りスマート車両専用の「Car2go」などは、キー代わりになるメンバーズカード1つでレンタルが開始できタンク不要、燃料込みのお手軽料金、所定エリア内での乗り捨て自由(!)です。ちなみに私は基本的には車は使いません。天候にもよりますが、大人なら5km、子供なら3kmくらいを目安にどこでも自転車で行くようにしています。エストニアのタリンに続いて、ドイツでも電車やバスを無償にするという計画をしていますし、石油燃料に頼らないライフスタイルを模索しています。 車による大気汚染の影響は甚大です。ミラノでは年に数回「マイカー禁止デー」、パリでは一年に一日「車なしデー」が実施されます。パリでは大気汚染で年間約3,000人が命を落としているとして、パリのアンヌ・イダルゴ市長は、2024年までに市民が車なしで、学校、職場、買い物や全ての街の機能に15分でアクセスできるという「自転車で15分の街」という新たな都市計画を提案しました。 自転車なら、人と至近距離になることもなく、流行の病気がうつることもありませんし、渋滞も、ラッシュもありません。坂道を漕げば、スクワットをしなくても自然とヒップアップにつながりますし、いいことだらけ(笑)地球にも「わたし」にもいいシフト、していきましょう!朝のバルセロナにもあちらこちらにレンタル自転車が並びます。 参考文献▼https://courrier.jp/news/archives/171747/ ▼https://affinity-germany.jp/information/taxi_car-sharing/ ▼https://ideasforgood.jp/2020/02/13/paris-15-minutes-city/ ▼https://www.forbes.com/sites/carltonreid/2020/01/21/phasing-out-cars-key-to-paris-mayors-plans-for-15-minute-city/#401791146952 ▼https://ideasforgood.jp/2018/02/15/germany-free-transportation/ ▼https://ideasforgood.jp/2019/11/14/30000-cars/環境問題のこれまでの連載はこちら!https://molecule.news/stories/environmental-problem-4/ https://molecule.news/stories/environmental-problem-3/ https://molecule.news/stories/environmental-problem-2/ https://molecule.news/stories/environmental-problem-1/