近年様々な活動などが取り上げられることで環境問題への関心が高まる中、何をしたらいいかわからずに行動に移せない人も多いのではないでしょうか?【Molecule(マレキュール)】世代で仕事に子育てに忙しい筆者も、そんな中の一人でした。でも、ふとしたきっかけから環境問題は決して他人事ではないことだと身をもって痛感したのです。そんな私が日常の中で取り組むことにした環境問題へのアクションは“ごみ問題”。前編では取り組むことになったきっかけやそこまでの経緯についてご紹介しました。今回の後編では実際にどんな取り組みをしたのか、そしてそれによってもたらされた生活の変化についてご紹介します。平凡な毎日の中で出来る環境への取り組みについて、一緒に考えてみませんか?意外と簡単!? コンポスト生活さて、前編では環境問題が他人事ではないと知った経緯や、長野への移住生活がきっかけでごみ問題に意識を持ったこと、そんな中で出会ったコンポストのご紹介をしました。コンポストにもいろいろな種類があり奥深い世界なのですが、私が使っているものはお手軽な都市生活者向けの商品で、本当に手間がかかりません。そんなコンポスト生活の実態をまずはお伝えしていきたいと思います。我が家が愛用しているのはLFCコンポストこちらのコンポストのやり方は知識がない私にもとっても簡単。入れ物に配合された土類をセットして、そこに毎日出た生ごみを入れてかき混ぜる…以上です! こんなに簡単なの!?と拍子抜けした方もいるのではないでしょうか。実際に私も思ったよりも簡単でびっくりしました。面倒なことは本当に一切なしです!技術の進歩ってすごいですね。色々な面倒くさそうな機械を買ったり、時間をかけてお世話をしたり、そんなことはいりません。広い庭などない我が家にも導入のハードルが低く、すんなりと生活に取り込むことができました。生ごみがなくなり、ごみの減量に!毎日出る生ごみをコンポストに入れるので、家庭から出るごみの量もだいぶ変わります。 我が家の燃えるごみは生ごみが大半を占めていたので、今までの2~3割にごみを減量することができました。生ごみは水分を含むので、焼却にもエネルギーを使います。それがなくなったので環境への負荷も減らせます。また、ごみの収集日まで置いておくとどうしてもにおいや虫が気になります。このコンポストではにおいなどもほとんどしないので、今までよりも快適に生ごみの処理ができることにも驚きました。「なんでもっと早くやらなかったんだろう!」そんな気持ちになるほどです。 何よりも一番の衝撃は、今まで“ごみ”として捨てていたものが、コンポストでは養分になるのです。それは自分の中で、ごみに対して持っている意識が変わる瞬間でした。命の循環を再び作り出す生ごみが養分となり、豊かな土壌を作る。コンポストではそんなサイクルが行われます。生ごみを投入すると、どんどんと微生物による分解が始まり、投入したごみのかさが減っていきます。たくさんごみを入れているのにあふれ出さないのはそのためです。入れたものが黒ずんでいき土と同化していく様を見ていると、目には見えない小さい生き物たちの命の営みを感じることができるので、毎日土をかき混ぜるのが楽しみになっていました。 2~3か月かけて生ごみを入れ、量が増えてきたら発酵期間を挟みます。じっくりと分解を進めて、植物が育つ土になるための準備期間です。微生物たちの働きによって熱を発することで、コンポストの土がほかほかに温まります。命の循環システムってすごい!とついついわくわくする瞬間です。発酵期間を経て、生ごみの形がわからなくなってきたら、完成です。できた土壌をプランターに移し、種類の違う土を混ぜて種をまき、苗を植えました。ここから葉が芽生え、命が育まれ、そしてそれを収穫してまた食べる。自分を含むこの世界の命の循環をこんなに身近に感じることができるコンポスト。すっかりその魅力にはまってしまいました。忙しい現代を生きる私たちにとって命の循環に触れることは、とてもシンプルで、でも大切なことを思い出させてくれます。地球上の生き物の一員としての私たちという感覚を持っていることは、環境問題を自分事として捉えることにも役に立つものでしょう。ゲーム感覚でやるゴミ減量このようにコンポスト生活をしていると、他のごみもどれだけ減らせるかに挑戦したくなってきました。それはまさにゲーム感覚で、クリアできたらうれしいし、できなかったら、どう攻略しようか…と作戦を練るようなイメージです。リサイクルに回せるものを今までよりも丁寧に分類してみると、どんどんごみが減っていきます。生ごみ同様、資源として再利用されることで循環されるのですから、ぜひそのサイクルにのせてあげたいという気持ちにかられるように…また、ゲーム攻略のために、そもそもごみを出したくないとも思うようにもなりました。適当に何も考えず捨てていたごみに対して、こんなに考えるようになったのは自分でも意外です。きっと、ダイエット成功者もこんな気持ちなんだろうな…と思いをはせつつ、ごみ減量ゲームにいそしんでいます。スイッチが変われば楽しめる以上のように意識変革を起こした私は、「ごみ問題解決に向けてできることをやらねば!」という心構えから、「ごみ減らしゲーム攻略のためにできるは何か」という気持ちにスイッチが変わったのです。 楽しさやモチベーションは行動の継続には欠かせません!人間、やらなければならないと思うとやりたくなくなるものです。(誰しも経験があるのではないでしょうか…) でも、楽しいことなら進んで取り組むことができます。環境問題というと、なんだか重苦しく、まじめで、大掛かりな問題と捉えられがちです。でも、こんなに身近なことからできることがあって、なおかつそれを楽しむことができれば、もっとたくさんの人が自分のこととして捉えられるのではないでしょうか。 それぞれの生活の中で取り入れやすいものは異なります。自分にとって、何が楽しめそうか、何なら手軽にできるか、義務感だけではなく、そのような視点を軸に環境問題に取り組んでいくことは、行動を起こすことや継続するためにとても大切なことだと、今回の経験から気づくことができました。 まずは、1人ひとりが気張らずにできることから。そして歩き始めたそのその小さな一歩を、大切にしていきたいですね。これから挑戦したいこと筆者撮影そしていま私が今後挑戦したいと思っていることは、家庭プラスチックごみを減らすこと。すでにレジ袋や使い捨てのラップは使用していません。それでも、スーパーで買う商品には野菜をはじめ様々なものがプラスチックに包まれています。結果として毎週のごみ収集日には大量のプラごみが出てしまうことが、なんだかもやもやしています。最近ではゼロウェイストに向けた取り組みとして、量り売りをするショップやプラスチック容器を取り扱わない飲食店も徐々に増えてきています。そんなところもうまく利用しながら、少しずつプラごみをゼロに近づけていこうともくろんでいます。ひょんなきっかけから始まったコンポスト生活。その生活を通じて、私の中に芽生えた環境問題への自分なりの取り組み方は、「楽しみながら、やれることをやる」。忙しい毎日の中でも、できることは意外とたくさんあるんだと感じます。大切なのは、無理なく継続できること。生活の中にその取り組みをなじませることができれば、それはきっと自然と続いていくのだと思います。(東京から移住したあとは四苦八苦していた長野のごみ分別にも、もうだいぶ慣れました!)みなさんにとって楽しくできそうなことはなにか、考えるきっかけになれば幸いです。子どもたちに残せる環境をできる限りよいものにするために、生活の中で出来ることをこれからも探していきたいと思います。 コンポストに興味がある方は、こちらに詳細があります https://lfc-compost.jp/関連記事https://molecule.news/stories/environmental-problem-sakurai-1/https://molecule.news/stories/socialdistances-asamisakurai/