仕事も育児も、趣味もやりたいことを全部したい。ごきげんのいい母、いい妻でありたいのに、イライラしてしまう。そんなお悩みを持つMolecule読者は多いのではないでしょうか。「どうすれば仕事で成果を上げながら、家族や友人などの大切な人との時間も持つことができるんだろう?」そう思いますよね。金融系ライターの勝目麻希さんは、私にとってまさに理想の働く子育て女性でした。多くの記事を執筆しながら、ライター育成講師としても活躍する勝目さんは、2児の母でもあります。毎日を「ごきげん」に過ごす秘訣をインタビューしました。ごきげんな秘訣1:優先順位に沿って行動する「私のいちばんは子供なんです」最近は自身で書くだけでなく、ライターを育てる講師としても活動する勝目さん。表情には迷いがありません。勝目さんは忙しい中でも「仕事」「子育て」「家族や友人との時間」など大切にしたい時間を十分にとり、いつも楽しく過ごしている印象があります。一方、ごきげんでいたいのにできない私。同じ働く子育て女性でありながら、なぜこうも違うのだろう。どうやって時間をやりくりしているんだろう。そう思っていました。勝目さんは、何が自分にとって大切なのか、「優先順位を明確にすること」を重要視しているといいます。ごきげんな秘訣2:キャパシティを超える仕事は断る勝目さんの優先順位のいちばんめは育児。そのため、仕事をしたい気持ちはあっても無理することはありません。自分が決めた優先順位に従ってできる範囲内で働くことを決めているといいます。人気ライターの勝目さんにはたくさんの執筆依頼が舞い込みますが、自分のキャパシティを超える部分については断ります。多くの人はクライアントとの関係を考えて断ることに不安を感じるものですが、ときには断る勇気も必要です。「仕事に関してはプロとしてクオリティを保てるよう一線を引いています」と話す勝目さん。断る際は代替案を提示したり、適性のある他の人を紹介したりしているそうです。また、プライベートも大事だけど交友関係を広げすぎない。そうすることで「今できることの中で楽しんでいます。ごきげんな秘訣3:コントロールできる仕事を選ぶ勝目さんがごきげんに見えるのは、ライターという仕事を選んだことも大きいようです。時間を上手く使うことができるのも、ライターの魅力といえるでしょう。「ライティングは時間と場所に関係なくできます。また、実力を認められれば単価も上がりますし、実働時間が少なくても一定の収入を確保できるようになりますよ。」人によって十分な収入金額は異なりますし、決まった時間で書ける文字数にも限界はあるでしょう。しかし勝目さんのように専門性を持ち、できることが増えれば時間あたりの報酬を増やすことはできます。子どもが幼稚園に行っている間やちょっと早起きした朝など、短時間でも集中して書くことで、収入を確保することができるのです。自分の専門性に気づくまで勝目さんは大学卒業後、メガバンクの総合職として働いていました。海外に多くの拠点を持つメガバンクなら、海外駐在の可能性もあると思ったからといいます。営業として成績優秀者に表彰されたほどでしたが、結婚や出産など今後の人生を考え退職。商社の一般職に転職しましたが、商社では思うような仕事ができず自信を喪失したそうです。のちに出産し、育児休業も取得したものの、仕事よりも子どもとの時間を大切にしたいと考え退職しました。そして「自分のスマホ代くらいは払いたい」と在宅で働けるライターを始めることに。銀行時代の知識を活かし金融記事を書くと、各方面から引っ張りだこの状態になりました。勝目さん自身も多くの依頼を受けライティングするうちに、どんどん自信をつけていきました。働きたいのに働けない。感じていた焦燥感勝目さんには6歳と3歳の2人の子どもがいます。3歳の息子さんは自閉症と診断されており、療育園に通っています。療育園とは、ハンディキャップのある子どもの発達を促すための施設。週に2日は親子登園の日があり園が休みの日もあります。勝目さんのようなワーママが働く時間を確保するのは大変なことです。実際、息子さんが療育園に通い始めてから働く時間は短くなりました。周囲と比べて「置いていかれる焦燥感」のようなものを感じることもあったといいます。「物理的に働ける時間が少ないのはやはりつらかったですね。でも、子どものことで後悔したくないという思いから今の生活を決断しました」パートナーをごきげんにする話し方のコツ限られた時間の中でも、「仕事」「家族」「友人」など自分にとって大切なものの時間を確保している勝目さん。ワーママが時間をうまく使うには、パートナーに頼ることも大事だといいます。「なかなか上手にパートナーに話せない、頼れない」という方も多いかと思います。勝目さんいわく、日常的に「夫婦で情報共有」することがカギとのこと。納期などの仕事の状況や、「いつまでにこうなりたい」という仕事の目標を伝えることで、頼み事がスムーズにいきやすいそうです。また、相手への伝え方や姿勢も大事です。勝目さんに心がけていることをシェアしてもらいました。ポイント1:ワクワクする伝え方をするひとつめは、相手が「ワクワクする伝え方」をできるかどうか。「次の日曜日に家族で思い切り遊びたい!だから……」のように、「相手も楽しめる予定」を共有します。「家族のため」と思えば、パートナーもお願いを受け入れやすいかもしれません。ポイント2:わかりやすく大事にするふたつめは、相手を「わかりやすく大事にすること」です。「いつもありがとう」と感謝の気持ちを伝えたり、ときにはパートナーの好きそうなものをプレゼントしてみたり。「あなたは大事な存在なんだ」を「わかりやすく」伝えます。ポイント3:頼んだことに口出ししない食器の洗い方や洗濯物の干し方など、気になる点が出てくる頼み事もあるかもしれません。でも、そこはぐっと我慢します。自分のご機嫌は、他の人のご機嫌で支えられている。そう考えて、本当に大事なこと以外はおおらかな気持ちで見守ることが大事です。「海外と日本を自由に行き来する未来」を叶えるために今後はインタビューやSNS運用、ライター講座など書く幅を広げていきたいという勝目さん。将来は、長期の旅行や親子留学など、海外と日本を行き来する生活をすることが目標です。いま勝目さんが取り組んでいるのは「どこでも働ける」「海外で生活できる収入がある」「継続して仕事を依頼されるスキルを持つ」などの条件をクリアしていくこと。最後に勝目さんに、目標設定のコツをうかがいました。目標は3つの期間に分けて考える「短期」「中期」「長期」の3つの期間に分けて目標をたてます。ほどよいプレッシャーを感じられる環境をつくるSNSで目標を発信したり、友人に目標を宣言してみたり、行動に移せる「ほどよいプレッシャー」を感じられる環境に身をおきます。すると、自然と予定していた期間よりも早く目標をクリアしていることが多いそうです。目標をアップデートする設定した目標が達成できたらそのままにせず、新たな目標を設定します。定期的に目標を更新していく作業がとても大事なのですね。ママのごきげんのよさが大切。うまく力を抜こうイライラを手放し心穏やかに過ごすには「ママがごきげんに過ごすことが大切」と勝目さんはいいます。だから、ときには外食やテイクアウトも楽しみます。家事も力を抜けるところは抜くそうです。今は家事代行サービスも増え、一般家庭も依頼しやすくなりました。人に頼ることや、外注化することも、日々を「ごきげんに過ごす」には必要なのかもしれません。勝目さんのホームページWEBライティング講座編集後記「ママが仕事を続けていくだけで大変なことなんですよ」勝目さんがおっしゃった言葉が印象的でした。「仕事も子育ても頑張らなきゃ」と過度にプレッシャーをかけすぎ、「追われている」と感じているママも多いでしょう。しかし、仕事も子育ても頑張りすぎなくていいのかもしれません。「追われている」と感じている時点で「自分の軸」で生きられていないからです。ママだって失敗もするし、人に頼るときもある。仕事が合わなければ転職できる。他人の評価を気にせず、「自分の基準の中で軽やかに生きる大切さ」を感じた取材でした。