目の前の仕事と子育てに追われている中で、未来=数日後にしか思考が及ばなくなり、いつしか自分にとってワクワクする5年後、10年後の未来は見えなくなってしまった…そんな渦中にいる【Molecule(マレキュール)】読者の方も多いのではないでしょうか。未来思考プランナーの横田麻里子さんは、「人生計画が趣味」と言うほど、二児を育て、働きながら思考は遠い未来にまで及んでいるのです。彼女の脳内を本連載から垣間見ることで、ワクワクする未来の作り方・考え方のヒントをもらえるかもしれません。モヤモヤから脱出できた鍵日ごろ、自分と対話していますか? 自己分析を重ね、ひたすら行動し続けた今だからこそワクワクする未来が見えてきた私ですが、かつての私は自分が心からやりたいことがわからず長い間モヤモヤ悩み続けていました。そんなとき、突如おとずれた「片づけたい」願望。その後ひたすらモノの取捨選択をすることになるのですが、その整理収納こそがモヤモヤから脱出できた鍵となりました。もともとは捨てられない女だった私。そんな私が「毎日をごきげんに過ごすために人生を整えたい」と思い、整理収納アドバイザー1級まで取得することになるのですが、今回は未来思考プランナーの視点で「整えることで見えてきた自分がやりたいこと」をお届けします。自分が心からやりたいことがわからない入社以来、仕事に没頭してきた私。 妊娠してからは赤ちゃんに会えることを何よりも楽しみにしていましたが、「ほどほどに」働くことができない性格もあり、第一子の産休に入るまで文字通り「全力で」駆け抜けました。(そんな私を毎日見ていた夫からは「できることなら俺のお腹の中でゆっくり赤ちゃんを育てたい」と言われたほどです…笑。)「やりたいこと」よりも目の前の「やらなくてはいけないこと」をこなすのに必死の日々。 そして迎えた初めての産休。新しく迎える家族の準備も整え、心穏やかに過ごしていました。「妻」としてでも「母」としてでも「娘」としてでもない「私」自身とゆっくり向き合う久しぶりの時間。TO DOリストがびっしり書き込まれた仕事用の手帳ではなく、人生計画用のワクワクノートを広げながら「やりたいこと」を思い描く。そのとき。 「あれ?私が心からやりたいことってなんだっけ?」 なんだか心がざわざわ…そして急に思い立ったこと。 「まずは家を徹底的に片づけなくちゃ!!」 妊娠後期の巣作り本能なのか、無性に片づけがしたくなりました。学生時代、テスト前日に勉強をしなくてはいけないのになんだかソワソワして突然部屋の片づけをしたくなったことはありませんか?まさにあの状態。真剣に自分の人生を考えるためには、環境も頭の中も徹底的に整理する必要があったんですね。 忙しいことを言い訳に片づけを先送りにしていた私ですが、本気で片づけることを決意。かつての私は、片づけをしよう!と思い立つと、収納ボックスを買う→あふれているモノをしまう→部屋がスッキリして片づけた気になって満足→忙しくなって気が付くと元通り。という典型的な片づけられないループに陥っていました。「整理」とは「自分と対話すること」そこで、今回は「整理収納」について勉強するところから始めました。 「整理」とは、不要なものを処分すること。 「収納」とは、物をしまう場所におさめること。基本的な “整理の考え方”、具体的な “整理の方法”、実践的な “収納のコツ” を学び、まずは整理をすることが必要だと知りました。“整理”は、自分の周りにあるモノ1つひとつと向き合って、「自分にとって必要なものか?」という判断をしながら仕分けていきます。「整理収納」の基本を理解していなかった私。捨てられない女だった私は、そもそも「整理」ができていなかったんですね。それなのに「収納」から始め、さらに、モノが多いのは「モノを大切にしていて物持ちがいいから」だと思っていました(笑)。片づけ始める前に重要なこと。「人生計画」同様、自分の家についても「目指したいゴールイメージ」を明確にさせました。どういう家に暮らしたいのか。どんな暮らしが理想なのか。何に囲まれたいのか…。夫とも話し合いました。我が家の目指す家は、「家族や来客が落ち着く、あたたかい家」。理想のイメージができたら、そこから逆算して、必要なモノを選び、不必要なモノは感謝をしてから手放しました。「いつかやろう」「いつか読もう」そう思いながらも忙しいことを言い訳に先送りにしていたこと。「いつか使うかも」「いつか着るかも」と言いながらも、今の自分にはもう必要のないモノ。「なんとなく」使っているけれど、実はあまり気に入ってなかったモノ。「もったいない」と捨てられず、活用していない空き箱など。そういった1つひとつの物事と毎日向き合い続けました。「これは、なぜ心がひかれるのか」「これはもう使わないのに手放せないのは、なぜだろう」 本気で片づけをするのはかなりのエネルギーが必要でしたが、目の前の「今」とじっくり向き合うことで、目指したい「未来」に近づいていることを感じました。家中を「整理」して手放したモノは、「これ【で】いい」と「なんとなく」買ったモノでした。以前、尊敬するかたから「成功の反対は、失敗ではなく妥協の積み重ね」だと伺いました。 日々の行動は選択の連続です。身の回りにあるモノは、自分が所有することを決めたから家にあるのです。「何を持つか、何を手放すか」「何を食べて、何を食べないか」「何をして、何をしないか」…。 日々の選択と行動が未来をつくります。無意識に「なんとなく」していることは、ありませんか?私は色々あって耳が痛いですが、「片づけ」を通して「これ【で】いい」ではなく、「これ【が】いい」を大切にしようと強く意識するようになりました。横田さんの自宅の様子整理収納の知識を活かして家を整えたおかげで、帰ってくると落ち着く理想の家になりました。かつてのように探し物をしたり、モノが多くてイライラしたりすることもなくなりました。家が片付いていないことで、「ああ、片づけないと」と自分のエネルギーが消耗していたことにも気がつきました。今は、そのエネルギーを前向きに使うことができるようになりました。実際に整理を始めて目の前にあるモノ1つひとつと向き合うことで、自分が大切にしたい価値観に気づきました。仕事や育児でモヤモヤしている人の気持ちをラクにしたり、背中を押して前向きな気持ちにしたりするお手伝いもしたいという夢もできました。「モノ」を整えると「時間管理」や「思考」も整いスッキリ。育休中には約100人もの方々が赤ちゃんに会いに来てくださったのですが、心穏やかにお迎えすることができたのは家も心も整えたおかげだと思っています。そして、家中を整えたことで分かってきた私のモヤモヤの正体。それは、自分が目指したい方向性がわからないことに対して、何もできていないことだったのだと気づきました。方向性が見えてからは、育休ボランティアやMIRAISの活動など全力で爆走する日々になるのですが、そこにたどり着くまでにはもう少し自己分析の時間が必要でした。次回は、「一歩を踏み出せた勇気」をお届けします。横田さんの関連記事はこちら自分にとって「ワクワクする未来」とは? | 未来をきりひらく人生計画 vol.1 ロールモデルに囚われない私 #08 未来思考プランナー|横田麻里子さん