新卒で入社した憧れの出版社で、今年16年目を迎える柳澤聖子さん。今年からライターとして、新たに【Molecule(マレキュール)】に参画していただくことになりました!2人の男の子の出産・育休・復帰の後の「職場×保育園×家」のトライアングルの生活の中で、なんとも言えない不完全燃焼なモヤモヤを抱えた彼女。 【Molecule(マレキュール)】読者の皆さんの多くも、同じような不完全燃焼感を抱えていらっしゃることと思います。今回は、自ら行動を起こしワーママトライアングルからの脱出を試みた結果、様々な気づきを得た柳澤さんの、「ワーママトライアングル脱出録」をお届けいたします。仕事効率化vs仕事への情熱のジレンマ―新卒から現在も在職されている出版社は、憧れの大企業でいらっしゃいますよね。どんな思いで入社されたのですか?私は大学院で宇宙について研究していたのですが、「子ども向けの宇宙の本を作れたら!」という想いで入社しました。入社4年目で、その想いを叶えることができました。編集の仕事は、自分の表現したいことを、デザイナー、ライター、イラストレーターなど、様々な方の力をかりて具現化していくのを目の当たりにできて、とても楽しい仕事だと実感しています。私の中で「仕事」というものが大きく変化したのは、『第一子の育休復帰ショック』を経験した時です。当然のように復帰直後は体調を崩しがちである息子を抱えながら、勤務中に終わらなかった仕事を自宅に持ち帰り、夜中に片付ける日々。体力的にも精神的にも辛く、涙ながらに「もう辞めたい…。」と夫に訴えたこともありました。うちの会社は、女性社員比率が高く活躍しているワーママがたくさんいる一方で、もしかしたら「ワーママのスペシャリスト」が多かったのかもしれません。私の上司もお子様がいらっしゃるママで、私の気持ちに理解は示してくれているものの、その上司は「同じ状況をうまくこなせてきた人」だと思うのです。周りを見渡してみると、①やりたい仕事をやるためには、なんとかやりくりする方法を自分であみだすか、②時間的な余裕を求めるならバックオフィスへ異動するかという2択のいずれかを選択している人が多いと感じます。 部署編成や上司の入れ替わりなどがあり、私もなんとか①を目指して頑張っていたのですが、ずっと自分時間が全く持てない生活に違和感を感じていました。―お2人目の育休復帰後、何か変化はありましたか?少しでも時間的なゆとりを持ちたい一心で、仕事以外の負荷を軽減するために、夫の実家の近くに引っ越したり、家事をアウトソースするなどの対策をうって2人目育休から復帰しました。 仕事も前よりは落ち着いてきて、時間がない中でうまく回すためのコツなんかも掴んできて、「回せる」という意味では「回せる」ようになっていきました。でも、いつの間にか、仕事そのものに対する情熱が薄れていったんです。 子ども達との時間を確保するために、早く仕事を終わらせることが目的化してしまっていたのかもしれません。仕事と子育てをうまく回せるようになっていく反面、仕事に対する情熱は相対的に下がっていったように感じます。「こなす技術」と「新しいチャレンジ」のバランスが、崩れてしまったのかも。 職場×保育園×家」のトライアングルの中で、息詰まってしまった感じです。ワーママトライアングルからの脱出。外での学びがもたらした効能とは?―私も、「職場×保育園×家」のトライアングルの中で息詰まるママは多いと感じます。もしかしたら、ママだけでなくパパもそうなのかもしれませんね。柳澤さんは、いったい、どうやってそのトライアングルから脱出できたのですか?最初にやったのは、会社以外のコミュニティーに足を踏み出してみることでした。会社の同僚の話を聞いているだけでは、なかなかブレイクスルーできなかったので(苦笑)。悪い意味ではないのですが、長年同じ組織に属している人間は同質化してしまうのかもしれませんね。忙しい中でもなんとか時間を捻出して、気になる人や会いたい人に勇気を出して連絡をしてみたり、実際に会いにいってみました。転職活動も、「気になるなら実際にやってみよう!」ということで、何社か実際に受けてみたりもしました。また、ライフコーチングを受けて、自分自身の内面と向き合う技術も学びました。トライアングルを一歩出てみると、本当に様々な気づきがありました。自分の中で一番大きな変化につながったのは、blogを読んで興味を持った株式会社MYコンパス・代表取締役の岩橋ひかりさんに実際にお会いし、彼女が運営されていたオンラインコミュニティー”MYコンパスアカデミー”へ参画したこと。同じようなモヤモヤを抱えている女性が集まっているコミュニティーで、お互いのモヤモヤを共有しながらお互いにフィードバックをしあうんです。他者との対話の中で、「自分らしさ」がより明確になっていきました。仕事と子育てのバランスをとることばかり考えていましたが、今は大好きな子どもとの時間を最も大切にしたいのだと認めることができました。コミュニティーには、私のような会社勤めのママだけでなく、フリーランスの方や、海外に駐在中の女性もいらっしゃいました。異なる価値観の方と対話が自分自身を認識することに繋がるって、一歩外へ踏み出してみないと気づけないことかもしれないですね。―他にはどんな変化があったのですか?自分が好きだったことを、思い出すことができたんです!些細なことに聞こえるかもしれませんが、私の中ではとても重要な変化でした。もともと読書が好きで、昔はいつも「読みたい本リスト」を持っていたのに、産後、そのリストを作れていないことにすら気づいていませんでした。自分は本が好きだし、編集という仕事も本当に好きだと再発見することができました。MYコンパスアカデミー※で得た気づきやつながりによって、その後、本業以外の新しい仲間とともに、ちょっとした冊子を企画・制作しました。小さな仕事なのですが、自分がやりたいことを100%実現できたことで、編集という仕事に対する情熱の炎を再び取り戻すことができたように感じます。※現在はMYコンパスカレッジ。これからどうするか?ロールモデルがないなら作る!―「編集」という仕事自体に対する情熱を取り戻された柳澤さん。これからはどんな風に、活動されていくのでしょうか?かなり勇気のいることかもしれませんが、自分が暮らしている「トライアングル」から一歩外へ踏み出すことで、一気に視野が広がることがあると思います。トライアングルの中で、毎日がとにかく精一杯だった自分。当時は正直、外へ出る自信なんてなくて、とにかくモヤモヤし続けるしかなかった。でも、一歩踏み出すだけでも、自分の世界が一気に広がって、自分自身を客観的に見つめられるようになるんですね。編集が好きという気持ちや自分らしさを取り戻すことができて、「会社」や「現在の部署」に対するこだわりがなくなったような感じがしています。会社や目の前の仕事という名のポジションにしがみつくのではなく、「自分らしく生きながら、自分の強みをどのように会社や仕事に還元していくか」という発想で、これからの働き方をフラットに考えてみたいと思っています。会社員orフリーランスとか、フルタイムor時短というような既存の働き方の中での二極論ではなく、半フリーランスとか、30%フリーランスとかでもいいかもしれませんね (笑)。正直、今の会社はそんな選択ができる人事制度はないので、私自らが新しいロールモデルの実験体になってもいい。 一度退職して、自分らしい働き方にチャレンジしてもいい。今は、まだ結論が出ている状況ではないのですが、不完全燃焼感を抱えたトライアングルからは、脱出できた・・できそう(?)な感じはしています。こんな私ですが、これから【Molecule(マレキュール)】読者の皆さんにも、自分らしいライフを再発見してもらえるように、様々な視点や事例をお届けしていきたいと思っています。これから、どうぞよろしくお願いいたします。MYコンパスカレッジ http://mycompass.co.jp/college/