先日、【Molecule(マレキュール)】の編集部に、嬉しいお知らせがありました。「私、マレキュールのドンピシャ人材です!」と。マレキュールは、立ち上がってまだまだ間もないメディアですが、こうしたご連絡をいただけるのは本当に嬉しいことです。 吉報を届けてくれたのは、3歳の息子さんを育てながら、スラッシュキャリアで様々な企業のPR・広報事業を手がける青柳真紗美さん。「上司部下のようなヒエラルキーは一切なし」の、“ホラクラシー組織”で有名なダイヤモンドメディア株式会社の広報もその仕事の一つ。ご自身も大変ユニークな生き方を楽しんでいらっしゃいます。取引先の社長から、「君にぴったりのメディアがあるよ!」と教えてもらいマレキュールを知ったという彼女は、未婚シングルマザーに対するマイナスイメージを塗り替えたい!という想いで【Molecule(マレキュール)】編集部の門を叩いてくださったんだとか。家族の在り方や女性の生き方も、いろんな価値観があって良い時代。とは言え、“シングルマザー”に対する「大変そう」というイメージは、まだまだ根強く残っていると感じます。ましてや、“未婚シングルマザー”であれば、勝手な想像や先入観を持ってしまうケースが少なからずあるのも現実です。しかし、実際にお会いした青柳さんは、とても幸せそうなオーラをまとった可愛らしい女性。パワーウーマン感も、苦労してそう感も全く感じさせない雰囲気。長年、PRや広報を手がけていらっしゃるからか、すごくスタイリッシュで「お子さんがいるように見えない」感じです。青柳さんの生き方について、詳しくお話を聞きました。現代版「案ずるより産むが易し」コーポレートコミュニケーション株式会社 代表取締役・青柳真紗美さん。学生時代に起業し、現在は複数の企業のPR・広報を手がけている。3歳の息子さんを持つ未婚シングルマザー。「結婚前提で付き合っていると思っていた彼との間に子供ができた時、当然のように結婚しようと思った私と、その時まだ父親になる覚悟を持てなかった彼との間に溝が生じてしまったんです。結局、妊娠初期の段階で破局してしまいました。」昔から、「自分の家族を作りたい」という強い想いを持っていた青柳さん。妊娠が発覚した時、彼女の脳裏に「おろす」という選択は全くなかったそうです。しかし、本当は結婚したかった彼との辛い別れの中で、漠然とした不安に襲われることも多々あり、妊娠中は本当にしんどかったと言います。「でも、あの時、私のお腹の中に確かに存在している命があって、その子に会わずに終わることがどうしても考えられなかったんですよね。スピリチュアルな信仰があるわけじゃないんですが、なんだか不思議な感覚でした。」その不思議な感覚が、青柳さんの肩を押したそうです。幸いにも、青柳さんのご両親は、青柳さんの選択を応援してくれたので、周囲のサポートを上手に得られる方法を模索し始めます。「未婚で子供産みますって、自分から周りに積極的に言っていかないと、周りからはなかなか聞きにくいですよね(笑)。だから、ありのままの自分をオープンに説明して、どうか皆さんのお力を貸してくださいとお願いしました。幸いにも、昔から人にはとても恵まれてきたので、自分が心を開けば、周囲も私を理解してくださいました。」そんな青柳さんですが、分娩台に向かう直前まで、slackで仕事のやり取りをしていたんだとか。産後は少しだけ実家にお世話になり、3ヶ月後には母子の生活をスタートさせすぐに復職されたそうです。現在、友人経由で、「未婚シングルマザーになりそう」「小さい子供がいるけど離婚を考えている」という相談を受けることもある青柳さん。「生まれたら忙しいし可愛いから絶対大丈夫だよ!」とアドバイスをしています。子供を産んだことに対しては、一ミリも後悔していないんだそうです。「1人だけで育てようとしたら、子育てはきっと大変なものになる。みんなの力をうまく借りる=周りをうまく巻き込めると、『子供がいる私』を楽しめるようになるかもしれません。」彼女の(周りをうまく巻き込む)ための戦略は、とてもユニークなんです。「子供がいる」ということをコンテンツ化しよう“子供がいる自分”を楽しむために、稼働時間4割の自分であることを前提に、とにかく目の前の仕事を一生懸命にやる!という青柳さん。青柳さんは「子連れ=ママ友コミュニティー」ではなく、子あり子なしで垣根に拘らずに子育てをしていきたいと考えています。出産後も、子育てしながら働きやすく、人と繋がりやすい環境をと考えて、妊娠中に都心へ引越しをしたそうです。「都心なら平日でも、いろんな人に気軽に立ち寄ってもらえるので、いわゆる“宅飲み”を日常的にやっています。子供がいる人もいない人も、分け隔てなく付き合うようにしていて、友人が連れてきた“私の知らない人”と一緒にご飯を食べることもありますね。」息子には、様々なロールモデルを見せながら、「人を頼れる人」になって欲しいと願う青柳さん。あえて、色んな人間関係を見せるようにしているんだとか。そのためには、どこにでも子供と一緒に行けるように、青柳さん自身も周囲との関係作りに気を配っているようです。「子供がいる」ことをコンテンツ化してしまおう!という発想で、ちょっとした打ち合わせや業務時間後の納会、イベントなどには生後3ヶ月から子連れで参加。もちろん、会社や同僚の理解も必要ですが、子供と自分をあえて切り離さないようにしているのが彼女流のポイントです。それは、一種の覚悟のようなものかもしれません。子供が騒ぎ出したら一旦外に出るなど配慮をしますが、青柳さんは、子供がいることで「ごめんなさい」と言わないことを決めています。「とは言え、迷惑をかけてしまった時は謝りますよ?(笑) “ごめんなさい”と言わないようにしているのは、“ごめんなさい”と言わなくて済むように行動しようと思っているからなんです。具体的には、”ごめんなさい”と言わざるを得ない場面になりそうだったら、どんなに楽しみにしていたイベントでも割り切って帰る、という感じです。 子連れで行くといろんなハプニングが起きます。そんな時、”ごめんなさい”と言いながら、どこかで<一生懸命やっている私><大変な私>をアピールしようとしていたのかもしれないと気付いた時、ハッとしたんです。それからは、迷惑をかける前にその場を離れるなど、かなり早い段階で判断して動くようにしています。あとは、子供がいることが言い訳になってしまわないように、目の前の仕事を一生懸命にやるってことですかね。 子供がいるからって甘えるなっ!と言う人もいますよね。中には、とりあえず文句言いたいだけって人もいると思いますが、“子供がいるから甘えている”と思わせてしまっている要因が、自分にあるのかもしれないと考えてみると、仕事をする上で大切にしているポイントや思いを積極的に自分からプレゼンしていくことも大切かもしれないと考えました。」「子供が急に熱を出した」ときのような、本当に仕方ないこともありますが、それを折り込んで仕事を設計しているかどうかが大切だと言います。青柳さん自身、出産後の稼働時間は出産前の40%くらいになったそうですが、『40%くらいしか稼動できない前提』で、いかに成果を出していくかを真剣に考えているのだそう。子供が生まれてから、以前のように働けなくなった自分に対して、モヤモヤしているマレキュール読者の方も多いかと思いますが、青柳さんのように、「子供がいる」ことを、上手に自分のコンテンツにしていけると、本当の自分が受け入れられるようになるのかもしれません。「たとえば、なんで私はスーパーモデルになれないんだろう…って、そこを悩んでも仕方ないんです(笑)。子供が生まれてから、時間的にも集中力的にも以前のようには働けなくなっているのが事実なので、何と比較して罪悪感を感じているのかに気付くことが大切かもしれないですね。罪悪感を持ってしまっていることに気づいたら、何をあきらめてどんな環境に変えるのかを考えるようにしています。」現在は、週に3日勤務しているダイヤモンドメディア社の月次納会にも、子連れで参加されている青柳さん。職場でも、自分のプライベートをオープンにさせてもらうことが、周りを上手に頼るための秘訣なんだそうです。「頼り力」が人生を左右する?!保育園とは別の夜の託児サービスを利用して、友人と食事に行くこともあるという青柳さん。子供にも、保育園以外のコミュニティーを用意してあげているという。「私はポンコツなんで、子育ても仕事も最初からうまく行くわけなんてない。うまくできない前提でやっていかないと、しんどくなるのは当たり前。ポンコツだからこそ、周りの人をうまく頼っていかなければいけないと考えています。」と明るく話す青柳さん。3歳の息子さんにも、「人間は完璧ではない。基本はポンコツ。だから人を大切にして人を上手に頼りなさい。」と繰り返し説いているそうです。「どんなコミュニティーに所属するかが人生の質を左右する」という座右の銘もお持ちの青柳さん。とても社交的で交友関係も広そうなお人柄ですが、コミュニティー選びは慎重になさっているようです。その理由を、彼女はこう語りました。「人を頼るためには、まず自分の心をオープンにしなければなりません。自分の心がオープンであって、それが周囲に受け入れられることで”安心”を手に入れることができるんです。でも 私も実際は、無防備にオープンにしてズタズタにされることもあります(笑)。そんな経験もあるからなのか、どんな環境であれば自分自身がオープンでいられるか、どんな人に囲まれて生きて行きたいかを、常に考えるようにしています。」“人を頼る力”というのは、“心をオープンにできる力”なのかもしれませんね。心をオープンにして、誰かを頼れる力を手に入れることは、自分自身の人生の選択肢を増やしていくためのスキルでもあると感じました。未婚シングルマザー・青柳さんからいただいた気づきが、Molecule(マレキュール)読者の皆さんの人生を、より良くシフトさせるためのきっかけになれば嬉しいです。