2020年4月7日、新型コロナウイルス対応の特別措置法に基づく緊急事態宣言が7都府県に出されました。そして、その後全国に。Molecule(マレキュール)として、この状況下で出来ることが何なのかをずっと考えてきました。 そこで、2020年4月から編集部の私たちがいま、家族や身近な人と共にどんな日々を送っているのか、1人1人のスタンスも含めて記事を通して発信し続けることにしました。社会の様々な情報に過度に左右されすぎず、今できることを家族や自分たちで実行していくことこそが、私たちのスタンスではないかと思っています。 皆さんの半径5メートルの暮らし方も、この連載を通してぜひ考えるきっかけになればと思います。今回の執筆者宝塚歌劇団宙組男役(芸名:潮和歌)→大学生→企業にて研修企画や講師→キャリアデザインコーチ(キャリアコンサルタント)として独立へと、前例にとらわれず独自のキャリアを開拓。現在は夫の転勤に伴い、上海で三児の子育てをしながら、駐在妻や子育て中ママのキャリア支援をライフワークとして展開中!上海から緊急帰国 まずは生活を整えるため一時活動休止を決意筆者提供今年の1月、上海で春節休暇を過ごしている矢先に、武漢のコロナウィルス感染騒ぎが起きました。子どもたちの学校が一斉に臨時長期休校となり、外出もままならない中では、親子ともに家の中でストレスで悲鳴を上げてしまう! そう思い、母子ともに緊急一時帰国することに。上海で引き続き仕事をしている夫とは、以来半年近くの別居状態が続いています。そんな状況ですが、今は東京の実家で母子4人が世話になり、子どもたちも現地の小学校や幼稚園に転入できました。やっと登校再開にもなり、少しずつ生活が落ち着いてきたところです。私は普段、キャリアコーチの仕事をしています。上海では、仲間たちと一緒に「キャリアカフェ上海」という非営利団体を立ち上げ、駐在妻のキャリア支援イベントを開催していました。 日本への帰国時には毎回キャリアセミナーを開いていましたし、オンラインで個別のキャリアコーチングを実施することもできたはずです。でも、今回の緊急帰国にあたっては、身に起こる突然のことに「被災者」「惨事に出会った当事者」という意識がどうしてもありました。そのため、まずは生活面での安全を第一に考え、当面活動は休業しよう! と決断。しばらくは家庭内で過ごしていました。「私にできることを」 オンラインで行動を起こすことで未来につながった休業中、インターネットを通して、さまざまな人たちがそれぞれの得意や専門性を生かして発信する姿を目にしました。 そんな中で、「そうだ、私も悩んでいる人や困った人を勇気づけたいという気持ちが、仕事の根底にあったな!」と改めて気づいたのです。「いつもの生活」が失われた場所にいる(避難先に過ごしている)という意識があっても、私にできることがあるはず。そこで、YouTubeで「ママと子どもたちの夢を応援!プロジェクト」と題したプロジェクトを開始することに。私と同じようにコロナで生活基盤を失ってしまったママたちや、外に出かけられなくてストレスを抱えているママたちに少しでも元気になってほしい。そんな思いから、私の持てるメッセージを動画を通して伝えるようになりました。 %3Ciframe%20width%3D%22750%22%20height%3D%22422%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2FS4CjA2emRbE%22%20title%3D%22%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%81%A8%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%AE%E5%A4%A2%E3%82%92%E5%BF%9C%E6%8F%B4%EF%BC%81%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88%E3%80%8CPart1%20%E3%81%A9%E3%81%86%E3%82%84%E3%81%A3%E3%81%A6%E5%A4%A2%E3%82%92%E3%81%BF%E3%81%A4%E3%81%91%E3%81%9F%E3%81%AE%EF%BC%9F%E3%80%8D%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E動画への反響は思った以上でした。いろいろな方から「元気をもらいました!」とメッセージをいただいたり、ずっと連絡を取っていなかった知人からも「見てるよ! ありがとう!」と久しぶりのメールをもらったりして、「ああ、届いているんだな!!」と、皆さんとのつながりを改めて感じて、熱い気持ちに……。 私がこれからやっていきたい方向性も新たに発見できました。また、発信を見てくださった方から「コーチングを受けたい!」とご連絡いただいたことから経済活動を少しずつ再開しようと思え、今後の仕事にもつながってきています。振り返ると、なにより「今こんな状況である私でも世の中に役立っていけることは必ずある」と確認できた、価値ある経験になりました。そしてさらに、共通の知人をきっかけに知り合ったママ3人(キャリアカウンセラーのママ・区議で元助産師のママと私)で、無料のオンライン親子イベントをボランティア活動としてスタートしました。 私はここではキャリアコーチとしてよりも、元タカラジェンヌとしてダンスや体操のパートの講師として関わったり、先輩ママとして体験談をお伝えする役割を担っていたりします。これらの経験をきっかけに、「上海と東京を行き来しながら、今後も場所を問わず仕事や活動をしていける環境を整えよう!」と目標を立てることができました。今は、SNSグループを活用して、国内外問わず女性のキャリアをサポートするプログラムの試験的運用をしています。上海に戻れるのは、まったくいつになるかわからない状況。ですがもともと駐在妻ですので、予測ができない未来を覚悟していましたし、コロナだってそれは変わらない。だったら、予測不可能な未来をとことん前向きに受け入れて、主体的にキャリアや仕事の可能性を広げていこう! そういった行動を厭わないことで、皆さんのキャリア形成への勇気づけになる存在になろう! と、意思を固めることができました。コロナ禍だからこそできた、親子での過ごし方実家のある東京に帰ってきた1月の時点では、まだコロナは「お隣中国の惨事」といった状況で、傍観しつつのんびりとした雰囲気の中にいました。幸いにも、新しい環境に入るという体験を何度か重ねている子どもたちは、転入先の新しいクラスに入ることも新しい先生やお友達に出会うこともすごく前向きに受け止めていたようで、親の心配などいらないな〜というくらい、たくましく過ごしてくれています。 「コロナで中国から帰国したからと学校でいじめられる」という噂やニュースもありましたが、そんなことも全く心配いらずで、子どもたちのたくましさに、逆に私が元気をもらいました。日本でも緊急事態宣言が5月末まで出され、上海に帰れる日もまったく目処がつかなくなってしまった今ですが、上海のママたちとのチャットで、近況報告し合いながら励まし合う日々。「とにかく健康第一で過ごせたら一番! ちょっとくらい学習の機会が少なくなったって、今しかできないこともあるよね」とポジティブな言葉をかけ合っています。娘には、普段はゆっくり見てあげられなかった習い事の自主練を見てあげられたり、やったことのない通信教育など、学校の外で興味を持った学びにも触れさせてみたり。未就学児の息子たちとは、ひたすら体を動かして遊んだり、人気の少ない場所を散歩したり、かけっこしたりと、ベッタリと親子の時間を過ごしました。ただ、夫とはしばらく離れているので、親子ともに寂しさも感じることも。なので、毎日wechat電話で子どもたちと顔を見ながら話しています。 こんな状況だからこそ、普段よりもお互いを気遣い合い、愛のあるコミュニケーションができるようになったので、コロナ避難でもいいことあったなと感じています!ステイホームでも健やかな暮らしの原点は運動にありただ、やはりコロナ禍において困ったこともありました。 実は、帰国して1ヶ月経った頃、ストレスのせいかめまいで倒れてしまったのです。数日間、ベッドから起き上がれない、子どもの世話もできない状態。 実家にいたから助かりましたが、これが大人は私一人だったらどうなっていたでしょうか。それをきっかけに、「自粛期間も外に出ない」「感染予防をする」だけでなくて、しっかりと体調を整えていかなければいけないなと思いました。 そこで、ストレスを増やさないために、私の原点でもある大好きなバレエのトレーニングを毎日30分の日課にしようと決めました。やっていることは、ストレッチと筋トレ、バーレッスンエクササイズ程度。でも、心地よいピアノ音楽を聴きながら、体づくりをしていき適度に汗をかくという運動が、思った以上に心身のバランスをよくしてくれました! 筋肉を使って体にほどよい疲れが出るので、夜もよい眠りにつけるようになりました。4月頃から体調も回復し、暖かさが増していく季節も手伝って、ステイホームでも心身調子よく過ごせています。そんな私を見て、子どもたちも積極的にYouTubeを見ながらダンスを踊ったり、娘も私と一緒に筋トレしたり。おかげで、親子4人とも風邪ひとつひかず元気に過ごすことができました。不確実な未来を生きる上で大切な「自分の心の声に寄り添う」ことまだ当分、私たちは「withコロナ」の生活を過ごしていかなければいけません。突然の環境変化により、お仕事がなくなったり、ふだんの働き方が変わったり、子どもの生活リズムや教育環境が変わったりと、私も皆さんも、たくさんの試練を抱えていると思います。 不安な気持ちばかり大きくなり、「どうしたらいいだろう?」と「このままでいいんだろうか?」と立ちすくんでしまうことも多いのではないでしょうか。そんな今だからこそ、ぜひ自分の気持ちに寄り添ってあげ、本来必要としていたことや、本当に失いたくない大切なものを考える機会をつくってほしいと思います。 もしコロナが発生していなくたって、もともと私たちの未来は予測不可能なもの。だからこそ日々の中で、あらゆる状況が起きたとしても、実現したい未来やありたい姿に向かって、主体的に動いていくしなやかな思考力や行動力を身につけていくことが重要なのではないでしょうか。 そのきっかけを生むのが、自分の心の声に寄り添って、気持ちを棚卸ししていく作業です。ぜひ、molecule(マレキュール)でも発信されている皆さんの生き方の中に、あなた自身の心の声に気づくヒントを得てみてください。 そして、じっくりとあなた自身の声を聴いてあげてくださいね。コロナに負けず、前向きに生きたい皆さんのこれからを、私も応援しています! 関連記事https://molecule.news/stories/discussion-about-childcare/ https://molecule.news/stories/china-mom/ https://molecule.news/stories/socialdistances-mayumikuribayashi/