宝塚出身でキャリアコンサルタントの資格を持つくれゆかさん。現在は上海にて(子育て✖キャリアデザイン)をテーマに、現地で働くママや駐在妻のキャリア支援を行っています。彼女は圧倒的な行動力で、宝塚から大学生になりました。その後一般企業への就職もご経験されているくれさんのキャリアは、一見するととても華やか見えるかもしれません。しかし、実は何度も自分のキャリアや生き方に悩んできたそうで、たくさん悩んだ経験が、今の充実した自分自身の人生に繋がっているんだとか。マレキュールのライターとしても活動し、上海から様々な情報を発信するくれさんの、キャリア哲学をお聞きしました。『憧れの職場』≠『理想の生き方』宝塚時代も、何度も「自分はどうなりたいのか?」ということで悩んできたと語るくれさん。―「元宝塚」というのはとてもユニークで強いご経歴ですね!幼少期から、やりたいことが明確で、圧倒的な行動力をお持ちだったんですか?必ずしもそうではありませんでした。宝塚を目指したのは、たまたま中学生の時にテレビで宝塚の特集番組を見たのがきっかけです。それまで舞台は見たことがあるけれど、入りたいとは思わなかった。でも、テレビで、舞台にかけるタカラジェンヌの稽古の様子や舞台裏の世界を垣間見て、すごくワクワクしたんですね!夢の世界をつくりあげるその過程に、魅力を感じたのかもしれません。そして、「絶対に宝塚に入る!」と決めたのが、中学3年生の時です。 と言うと、中3ですでにすごく明確なビジョンを持っていたように聞こえるかもしれませんが、そんなことないんです。どちらかと言うと、純粋に憧れを追っていったら、夢に変わったという、シンプルな流れでした。 「憧れの宝塚に入る」という目標は達成できたのですが、その後の道のりは決して平坦なものではありませんでした。宝塚は大好きだったけど、自分がどんなタカラジェンヌになりたいのか、何度も迷走したんですよね。「私は男役が向いているのか?どんな男役になれるのか?」とか。当時はきっと、入った後の目標まで、描けていなかったのかもしれません。 憧れの組織や環境に入っただけで、自分らしい人生を生きられるわけではないということを知りました。自分がどうありたいのか、主体的に意思を持つことがとても大切なんだなと気づきました。そこで改めて自分の人生を考えてみて、「もっといろんな人に関わって、誰かをサポートする仕事をしてみたい」という別の目標が見つかったんです。宝塚退団後は、夜間大学に通い就活も経験しました。今なら、「元宝塚」という経歴のユニークさを売りにできたかもしれませんが、当時は逆にこの経歴がハンデのように感じていました。行動力だけでは見つからない『自分軸』―宝塚を卒業したことも、その後、大学へ進み就活したことも、やはり圧倒的な行動力をお持ちだったのではと思います。思いついたらすぐ行動してみるタイプではありますが、それゆえ、全然違う畑へのキャリアチェンジを試みようとして、結果的に苦労したような気がします。自分のことを「キャリアドリフター」と呼んでいるのも、あっちこっちぶれまくってきた自分に対する良い意味での皮肉です(笑)。正直、初めての就活は結構大変でした。全然選考に進ませてもらえないのです。前職が「宝塚」と言うのは、ある意味、「社会人」であり「新卒」でもあるという立場なので、企業人事からすると、扱いにくい人材だったんだと思います(笑)。正直な人事の方には、「あなたの実務経験と年齢がミスマッチなので、採用しづらい」とおっしゃっていただいたこともありました。「不遇だな」と思ってしまうと自己否定に陥ってしまうと頭では考えても、気持ちを前向きにキープするのが大変な時期でした。今振り返れば、当時の私は「就職」ということに拘ってしまったように感じます。この時も、もっと、「自分はどうなりたいのか」を起点にして、働き方も自分で考えていっても良かったのかもしれませんね。しかし、この「行動力があってもいろんな壁にぶち当たる」という経験を通じて、最終的に人材開発系の企業に就職できた後も、「雇われの身」に安心するのではなく、自律的にキャリア形成をしていく必要性を意識していくことができました。悩んだところに『自分軸』のヒントがある現在は上海で、「キャリアカフェ上海」というサークルを立ち上げ、駐在妻や日本人女性のためのキャリア講座を開催。みんなの悩みに、とことん付き合っています。―企業で人材育成に携わった後、フリーで活動されることを決意したのはどんな想いからだったのでしょうか?企業の中で人材育成をしていく中で、「もっと個人のキャリア支援にフォーカスした活動をしたい」と考えるようになりました。在職中に、結婚し、子供が生まれて産休・育休を取得し、育休からの復職も二度経験。徐々に自分のやりたいことが明確になっていく中で、やはり企業勤めだと時間に縛られがちなので、自分の理想の子育てはなかなか実現できないと感じるようになりました。私は、朝、子供が保育園に行きたくないと愚図ったときに、とことん付き合ってあげたいなと思ったので、キャリアも子育ても、自分軸を持って進められるようにという思いで、独立することを決意しました。―現在は、悩み多きママたちに向けたキャリアデザインを提供されているくれさん。マレキュールの読者へのメッセージをお聞かせください。『自分軸を持つこと』は、とても重要なことですが、同時にすごく難しいことだと感じます。誰もがすぐ見つかるわけじゃないし、すぐ見つかっている人の方が少ないかもしれません。 私が思う自分軸は、「こうなりたい」という理想と「こうありたい」という信念がセットになったもの。それは自分自身を深く理解しなければ、見えてきません。宝塚にいた当時の私は、自分自身を深く理解するために、何をどうしたら良いのか、思考ツールも何も持っていなかったので、まぁ…本当にたくさんの悩みの壁にぶつかりました。そして、必死に稽古場の鏡の向こうにいる自分と向き合う日々(笑)。でも、悩んで良いんです。本当に難しいんですもの(笑)。 悩みながら、「ああでもない、こうでもない」とやっているうちに、自分の中や外から、ポツポツとヒントが出てきたりします。いずれそれが、『自分軸』という偉大な発見につながっていくこともあります。そしていつの間にか、他人から見た自分自身の魅力につながることも! 「なぜ自分は、このポイントに悩んでいるんだろう」の裏に、自分軸の手がかりが潜んでいるかも?!マレキュールは、そんな自分自身の探求を一緒に楽しんでいくメディアです。皆さん、これから一緒に、そしてじっくりと、『わたし探求』を楽しんで行きましょう。くれゆかさんの公式HPはこちら Encourage House