「ママひとり旅のススメ」2泊3日を1歳息子と過ごしたパパの本音は−

多くの女性は出産後「子どもとどう過ごすか」「家族とどう過ごすか」に意識がいき、「私はどう過ごすか」と自分主語で1人時間の過ごし方を考える機会は、めっきり少なくなる傾向にあります。私、井上千絵もその1人…。ですが先日、そんな思考を覆すツイッター投稿を発見しました。産後初めて1歳の息子を夫に託し、「ママひとり旅in台湾」を敢行してきた佐藤茜さん(以下、茜)の投稿です。これは、「じぶん探し」の新たな視点だ、と気付きを得たと同時に、妻を送り出す夫側(加藤たけしさん、以下たけし)としては、どんな心境なのか本音も気になり、ご夫婦に直撃インタビューしてきました。

きっかけは夫からの提案「一人で旅に行っていいよ」

夫:加藤たけし | 1歳児の父。ソーシャルメディアを中心としたデジタルマーケティングや経営改革のコンサルティングを手がける 株式会社ループス・コミュニケーションズ 所属のマーケティング・コンサルタント。非常勤で文部科学省 大臣官房 広報室の広報戦略アドバイザーも務める。准認定ファンドレイザー(ACFR=Associate Certified Fundraiser)。SFC卒。

―ママひとり旅は、どういう流れで行くことになったのでしょうか?

たけし:私から提案しました。行きたい所があったら教えてね、やりたいことがあったら言ってね、とは、これまでも茜に言っていたのですが、産後はなかなか行けなかったので、それがこのタイミング(20189月)になったのかな、と。

:出産後に夫が7ヶ月間育休を取得していたので、その間はなるべく家族で海外旅行に行きたいと思い、33人で海外に行きました。この春に息子が保育園に入園でき、その際に仕事を増やしたので、当初はバタバタでしたけど、ようやく落ち着いてきたタイミングで、ひとり旅に行こう、という感じですかね。子どもが産まれる前も、ひとり旅はよくしていたので、比較的自然な流れの中での選択でした。

妻:佐藤茜 | 1歳児の母。フリーランスのデジタルマーケター。 分野はNPO/政治/行政が中心。 大学卒業後、人材系ベンチャーで新規事業立ち上げやマーケティングを担当。ニューヨーク留学、東北復興支援NPO、サンフランシスコのクリエイティブ・エージェンシーでのインターン、衆議院議員の広報担当秘書等を経て独立。

―台湾に23日されたということですが、旅先の選定はどのように決めましたか?

一番は距離で決めました。やっぱり息子がまだ1歳で体調を壊す心配があったので、何かあったら早く戻ってこられるところが良いと思って。あとは、台湾は子どもと3人で2018年初めに旅行に行って、すごく良かったんですけど、子連れだから行けなかった場所も結構あって。そういう場所にもひとり旅で行きたいな、と思ったところが理由です(笑)

子どもの体調次第では直前にキャンセルする可能性もあるな、と思って234万円の格安プランを申し込みました。

一番の懸念は「息子と2人だけの夜」だった

たけしさん「料理は得意ではないけど、お昼は保育園、夜はストックしているご飯やレトルトで乗り切った」

―茜さんが旅に出る時、息子さんは泣かなかったですか?

たけし:出発の時は、すごく寂しがっていましたね。でも、日中から夜は比較的いつも通りで、グズッたのは出発の時だけでした。

―そうだったのですね。一方でたけしさんは、息子さんと2人だけの生活に不安はなかったですか?

たけし:もともと楽観主義なので、前日までは不安はほとんどなかったのですが、いざ当日になって、少し不安になりました。一番の懸念は、夜は妻が寝かしつけをして、子どもが起きた時には授乳をしていたので、起きたら大丈夫かな、ということでした。

:離乳食期で、寝る前には精神的安定のような感じで授乳していたので。

たけし:でも結果的には、全く問題なかったんです。電気を消したらすぐに寝てくれて、夜はほとんど起きなかったので、むしろ楽なくらいでした。もう数日あったら大変だったかもしれないですけど(笑)。一方で、家事育児を全て自分でやる経験を通して、段取りが非常に重要だなということに気付きました。例えば保育園の準備も、初日は朝やったらバタバタで大変だったので、前日の夜に準備したらすごくスムーズだったり。

―日頃の旦那さんの育児参加があると、やはりママひとり旅もスムーズに行きやすいようですね。

:そうですね。いつでも誰でも(1人旅が)出来るっていうよりは、普段の夫の育児参加がファーストステップなのかなって思いますね。いざ一人旅に出る時に、ゼロから箇条書きで家事育児のことを共有するってすごい負担じゃないですか。

それをしないでも分かる状態になっていることが、ひとり旅の選択肢が生まれる上で大切なのかなと。

ママひとり旅の醍醐味は「何者でもない自分」と向き合えたこと

台湾では大好きなカフェ巡りも楽しんだそう (写真:佐藤茜さん提供)

―ママひとり旅の2泊3日はどのように過ごしたんですか?

:連絡が取れるように、と携帯がつながる台北市内を中心にグルメ、カフェ、マッサージに行ったりしました。あとは、現地のスーパーを回るのが好きなので、スーパーに行ったり。前回、家族との台湾旅行では夜景が見られなかったので、山に登って展望台で一人夜景を見られたのが一番良かったですね。

<茜さんの23日スケジュール>

1日目 出国→マッサージ→ディナー
2日目 朝市→ランチ→お茶(台湾茶専門店)→カフェ→ディナー(小籠包)→夜景観光→夜市→スイーツ巡り
3日目 カフェ(スターバックス)→スーパー巡り→帰国

―旅先で息子さんや家族のことを考える時間はどれくらいありましたか?

10のうち12くらいですかね(笑)。連絡はまめに取り合っていましたけど、安心して任せてきたので、特に心配はしていなかったです。

高校時代、写真部だったという茜さん。展望台からの夕景〜夜景を長時間スタンバイして撮影に臨んだ、ひとり旅ならではの過ごし方に。(写真:茜さん提供)

―ママひとり旅の一番の醍醐味は何だと思いますか?

1人旅に行くと母や妻という役割を一旦忘れて、「自分は何者でもない」という感覚になって、普段考えていることが取り払われる感じがしました。例えば、子育てはこうしないと、とか、仕事はこうしないと、とか、その時代その地域の決まりごとのように従って動いている自分がいて、でも、それは絶対のことではないんだ、と思えたんです。

歴史をさかのぼることは出来ないけど、地域を移動することは出来るじゃないですか。台湾に行ったことで、日本では「こうしなきゃいけない」と普段考えていたことが、絶対的なものじゃないと思えたのが、一番良かったと思います。

あとは、本を読む時間がまとまって取れたことも良かったですね。日本にいる時も本を読むんですけど、仕事に直結する本や気楽に読める漫画が多くなってしまって。今回の旅で、自分とじっくり向き合う本を数冊読めました。

「子育て中だから出来ない」思考は取り払う

―茜さんは「わたし」と向き合う時間をひとり旅以外にも、持っていますか?またそのような時間は、茜さんにとってどのような時間ですか?

:普段から土日も夫と半日交代で子どもを見て、一人で動ける時間をお互い作るようにしています。土日のどちらか1日は、半分ずつ自分時間で、もう1日は家族一緒に出掛ける、というのをモデルケースとして考えています。お互いイベントに行ったり、カフェに読書に行ったり、しています。

よく、「自分」は周囲の5人に影響されて形成されていく、と聞きますが、本当にそうだと感じています。1人になる時間を物理的に作らないと、どうしても他の人の考えに流されてしまうと思うんです。自分の考えがわからなくなってしまうので、意図的に一人の時間を作って「わたしって何がしたいんだっけ」と考える機会は、すごく重要です。

「子供といたい」と思ってひとり時間を作らない選択をしているなら良いと思うのですが、夫がダメだから、とか、周りの目が気になるから、という自分の意思ではない選択は良くないので、自分の考えに従って時間をコントロールしていきたいと思っています。親が楽しそうじゃないと子供も楽しくないと思うので、「子育て中だからできない」という思考を出来るだけ持たないように心がけています。

―たけしさんは、茜さんが自分と向き合う時間を持つために、意識的に心がけていることはありますか。

たけし誰にも言わず、自分の中で我慢していたり、本当はこうしたいけど相談出来ずにいる、ってケースが夫婦間でも必ずあると思うんです。その相談をいかに引き出せるのかかが大切だと思っています。相談してもらうハードルを下げるとか、雑談の中で最近悩んでいることを察知するとか、そういうことをもっと頑張りたいですね。

茜は僕より我慢してしまうタイプなので、それをなるべく解き放ってあげるというか、相談されたことはなるべく100%叶える方向でいきたいと思っています。

:結婚してから、保護者ができたような感覚で(笑)、今まで出来なかったことが逆に色々挑戦できるようになりました。

―最後に茜さん、ママひとり旅第二弾の予定はありますか?

:今は予定はないですけど、定期的に行きたいですね。今度は、イタリアかアメリカのニューヨークあたりで。いつでも行ける、と思えることで、すぐに次の計画をしないと、と今は思っていないのかもしれませんが。

<編集後記>

ママひとり旅は、特別なものではなく、日常の一部のような感覚で行かれていることが印象的でした。「子育て中だから」という理由で何かを諦めることはしない茜さんの姿勢は、ひとり旅という選択に限らず、自分と向き合うための大切な軸なのだと私自身も感じています。

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