「特別な私」「戦闘中」。自分に貼ったラベルを剥がす| 夜明けの未婚シングルマザー vol.6

2019年1月に公開し、大きな反響があった記事「”子有り”をコンテンツ化 ハッピー未婚シングルマザー見つけました!」でインタビューさせていただいた青柳真紗美さんの連載最終回です。青柳さんの「わたし」を軸にした生き方、考え方は、シングルマザーだけでなく働く子育て女性の【Molecule(マレキュール)】読者にも通ずるものがたくさんあるはずです。

「特別な私」というラベルを剥がす

半年間、ゆるく書き続けてきたこの連載も最終回を迎えました。もしかしたらそのうちふと書きたくなってマレキュールさんに飛び込むかもしれませんが、一旦、今回でおしまい。

最近、こんなことがありました。

保育園の同じクラスのお子さんのお母様と「あっという間に4歳ですね~」と話していたら、「うちの子、予定日より1ヶ月早く生まれたんです。だから毎年この子の誕生日がくると泣きそうになっちゃうんですよね」と……。私まで泣きそうになりました。

うちの息子も最近誕生日を迎えたんですが、子どもの誕生日って、自分の誕生日の何倍も愛しくて嬉しい。そんな気持ちを、親になって初めて知りました。出産の時のあれこれだけでなく、子育てにはいろんなドラマがあります。もっといえば子育てに限らず、すべての家族にはそれぞれのドラマがあります。

別に「この歳になったらみんな多かれ少なかれ、何か抱えてるんだから、自分だけが大変だと思わないようにしよう」ということが言いたいわけではないです。

最終回を迎えるにあたって伝えたいことは、知らず知らずのうちに自分に貼った「ラベル」に、とらわれる必要はない、ということ。

私の場合、そのラベルの一つは「未婚シングルマザー」というものでした。

「未婚で子どもを産む」という選択と、それを周囲に積極的に発信していくという姿勢は若干、周りの人と違った点かもしれません。でも、この連載を書き進めるなかで、子育てする中で発生する悩みや葛藤、そして喜びに、未婚か既婚かはほとんど関係ないんだなぁと改めて実感しました。

どこかで思っていた「私は特別だ」という考えに気づくたびに、いろいろなことが、なんだかどうでもよくなったんですよね。

すごく逆説的ですが、「未婚シングルマザー」という単語をキーボードで打ち込むたびに、「未婚でも子供を産むって決めたんだから」「シングルマザーだから」と自分で自分に課していたいろんな制約がぼろぼろと剥がれ落ちていきました。

等身大の自分に、環境はフィットする

私たちはずっと戦ってきたなぁ、と思うのです。世の中や特定の誰かと、というわけではなく、おそらく自分自身と。

「こうなりたい」という理想を掲げ、そこに向かって努力し、一歩ずつ前に進む。なぜならそれこそが、望む未来を手に入れるための正攻法だと教わってきたから。

その繰り返しの中で、強く自分を否定したり、無理やり鼓舞したり……。もちろんがんばってきたからこそ、今の自分があります。でも、そろそろ戦いを終わらせたい、と思っている人も多いのではないでしょうか。

女性は結婚・出産によって人生の転機を迎えると言われます。でも、結婚・出産にかかわらず、20代後半から30代くらいの時期に多くの女性がなんらかの転機を迎えます。

社会に出て5年から10年、自分なりに走ってきて一息つく時期。

私の場合は出産によって強制的に一時休戦モードに入らざるを得なくなりましたが、きっかけはそれだけではないでしょう。転職や留学、移住などを機に改めて自分の幸せについて考えるという人も多いような気がします。

もしあなたが「戦闘中」というラベルを自分に貼っているなら、それだって、思い切って剥がしてもいいように思います。

多くの場合、「環境の変化によって人は変化する」という見方が一般的だと思うのですが、私は今は「自分が変化することで環境もおのずと変化していく」という考え方を持っています。

優秀さや強さは、たしかにこれまでがんばってきた証です。でもそこにこだわっているうちは新たな敵が次々に現れるんですよね、笑っちゃうほどに。

周囲の環境は等身大の自分にフィットする状態に変化していきます。だから幸せに穏やかに暮らすことを目指すなら、まずは等身大の自分のままで幸せになることを、自分で自分に許可してあげることが必要なんです。私はこのことを産後の数年で強く実感しました。

避けて通れない「パパ」の話題

最終回なので、今まで触れてこなかった子育ての話を少しだけ。

息子との時間は常にかけがえのないものですが、自我が芽生え、言語が発達し、周囲の人間関係を理解するようになってくるといろいろなことと向き合わざるを得ない瞬間も次々に訪れます。

避けて通れないのが、やはり「父親」という存在のこと。

2歳半頃に初めて「ぼくのパパは?」と聞かれたとき、「ついにこの時がきたか」と深呼吸したことを今でも覚えています。

そのとき私は息子に対して「全てを正直に話す」という選択をしました。

「あなたがママのお腹に来てくれたとき、あなたにはパパがいたの。でもママと大きなけんかをして、もうママとは一緒にいられない、と言われてしまって。だから家族になれなくて、パパじゃなくなってしまった。だからこのおうちにはパパがいないんだよ。

だけど、あなたにはママだけじゃなくて、ばぁばも、じぃじも、みぃちゃん(息子にとっては伯母)もいるでしょう。同じようにママがいないおうちも、じぃじやばぁばがいないおうちもある。

家族にはいろんなかたちがあって、増えたり減ったりすることもあるの。だからこれからうちにも新しいパパがくるかもしれないし、こないかもしれないけど、どんなかたちになったとしても、それが正解なんだよ。どんなかたちでも、あなたの家族はみんなあなたを心から愛しているよ」

その話を聞いて息子は少し複雑そうな顔をしていました。幼いながらも、きっと思うところがあったのでしょう。

今も寝る前などにポロリと「ママ、ぼくにも『パパ』できるかな?」「やさしいパパがいいな」とつぶやくことがあります。そうした発言を聞くと胸がぎゅっと締め付けられるのですが、同時に素直な気持ちを話してくれていることに安心している私もいます。

子育てに関しては今も手探りですが、息子の気持ちを大切にしながら、たくさん抱きしめてたくさん話し合って、私たちならではの「家族のあり方」を模索していけたらと考えています。

一方で、子供の幸せと自分の幸せを混同して考えないようにしよう、ということも意識しています。

もちろん息子にはずっと幸せに生きていってほしいですが、家族といえどあくまで違う人間。究極的に、私が親としてできることは「(衣食住を含めた)環境を整備すること」「多くの人や場所と出会う機会をつくること」「いつも味方でいること」くらいなのではないかと考え、それ以外の部分は難しく考えすぎないようにしています。

最後になりましたが、半年間の連載という素晴らしい機会を与えてくださったmolecule編集部のみなさん、ありがとうございました。そしてこれまでこのコラムを読んでくださった読者の皆様にも、心からの愛とエールを送ります。

カラフルでユニークな自分だけの人生を、これからもお互い、思いっきり楽しみましょう。いつかどこかでお会いする機会があったら、ぜひあなたのストーリーも聞かせてくださいね。

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