本気で社員を幸せにする会社から学ぶ 「働きやすさ」と「働きがい」のちょうど良い塩梅とは

 

6月某日、日本橋のサイボウズ株式会社のオフィスにて開催された「本気で社員を幸せにする会社 著・やつづかえり」の出版記念イベントには、様々な職業の方が参加されていた

働き方改革が進む中、柔軟な働き方にシフトする会社が増えてきています。一方で、「リモートワークが全然機能しなかった。逆にコミュニケーションが減り、生産性が下がった」というような声を聞くこともしばしば。

【社員の幸せ≠企業の利益】なのか、【働き方の柔軟性→生産性UP】なのか。

世の中は、新しい働き方をめぐり試行錯誤中。まだまだ、実験段階であると感じます。そんな中、最先端を突っ走りながら、【社員の幸せ】を【会社の利益】につなげることに成功している会社の最新事例を、ギュギュッと集めた興味深い本が出版されました。今回は、その「本気で社員を幸せにする会社」の、出版記念イベントレポートをお届けいたします!

「何が幸せか?」人によって基準は違う

著者・やつづかりえさん。コクヨ→ベネッセを経て、フリーランス編集者に。現在は「働き方」をテーマに様々なメディアでご活躍中

「フリーランスになったことがきっかけで、場所と時間から解放されたらこんなに働きやすいのかと気づきました。でも同時に、これってフリーランスじゃないと実現できなかったの?という問いも生まれたんです。」

現在は、「働き方」を切り口に、様々なメディアでご活躍中のやつづかさんですが、もともとは、働き方というテーマにあえてフォーカスしていたわけではないそうです。

やつづかさんがフリーランスになったのは、「Nomad(ノマド)ワーク」という言葉が流行った2010年頃。当時は、「フリーランス vs 会社員」という対立構造の文脈で、自由な働き方が語られることが多かった時代です。

しかし、やつづかさんはその当時から、「これって対立構造なのかな?会社員でも自由な働き方をすることは、本当に無理なのかな?」という疑問を感じたんだとか。その疑問を解消するために、自主取材を始めたやつづかさん。たくさんの企業の、様々な風土・制度を取材する中で、いつしか周囲から、「こんな面白い会社があるよ!」というネタが集まるようになったそうです。

今回の著書は、やつづかさんが過去300社以上の事例を取材する中で出会った「本気で社員を幸せにする12社」のお話が、ググッと詰まった1冊なんです。

「幸せと言っても、何を幸せと感じるのか?は、人それぞれです。経営者の、”社員の幸せの捉え方”も様々あります。」

どんな働き方が幸せなのか?
著書の中では、各社の「幸せの実現方法」が、5つの切り口でまとめられています。

■ワークスタイルをフリーに
出勤・在宅、勤務時間をフリーに。ユニリーバ・ジャパンのWAA(Work at Anywhere)プロジェクト、出勤日もシフトも完全フリーなパプアニューギニア海産など。

性善説が機能するマネジメントを開発
「自由を与えても社員がサボらない」を実現するためには、性善説運用ができる仕組みを先に開発することが必要なんだそうです!

■会社への所属メリットを追求
「ひとりでも仕事ができる時代に組織に属する意味とは?」という発想で、フリーランスのような働き方でも、企業に所属するメリットを追求する企業も。

■プライベートを企業内に持ち込める
「公私は区別しろ」が日本式のビジネススタンダードですが、「来週、子供の授業参観なんだよね・・」というようなプライベートな事情をビジネスの場でもOPENにできると、お互いの尊重が進むんだとか。

■プロジェクトワーク型
企業という組織の中で、個々の「主体性」を発揮することはなかなか難しい。しかし、自分の意思でやりたいことを選んで参加すれば、主体性が生まれ、さらに仕事のやり甲斐も高まるでしょう。「就社」ではなく「就業」の時代になっていくのかも?!

この5つの切り口で12社の実事例が収められた著書の中には、実に様々な「幸せの捉え方」を見ることができました。「私だったら、この会社がいいな・・・」なんて妄想も膨らみます (笑)!

自分にぴったりな「働きやすさ」×「働き甲斐」は?

イベントでは、サイボウズ社、ディスコ社のママ社員さんをお招きしたパネルディスカッションも

たくさんの企業の素敵な事例を聞く中で、一つの疑問が浮かびました。

子育て真っ最中の社員にとって、自分にぴったりな「働きやすさ」や「働き甲斐」を見つけること自体が、実はすごく難しいことでは?

【Molecule(マレキュール)】の読者の皆さんの多くもそうであるように、筆者・森田亜矢子も、自分にとっての働き甲斐を見つけることに、大変苦労しました。

「制度は作ったけど使われない」という、話を聞くこともあります。一体どうしたら、会社が用意した「働きやすさ」が、個人の「幸せ」に繋がるのでしょうか?

「難しい質問だと思います。正解はないし、企業の風土や従業員によっても違うと思いますが、一つの事例として、サイボウズさんの制度はとても有効だと感じます。」

サイボウズ社では、育休から復帰する際に、一般企業と同様の「復職前面談」を行います。やつづかさんが同社に対してユニークであると感じていらっしゃるのは、その後のフォローと見直しのサイクルがとても短いことだそうです。

「実際、やってみないと分からないことって多いですよね。だからこそ、実際やってみてどうですか?の振り返りを、短いサイクルで行いながら細かくチューニングしていくことで、自分らしい働きやすさや働き甲斐が見つかりやすいのでは?と思います」

なるほど、なるほど。

確かに、子どもを保育園に預け始めた時期には、子どもがいろんな病気に見舞われて呼び出しが入ることも多いと思います。復職後の混乱期は、自分自身が仕事に慣れるまでのストレスだけでなく、新しい生活ならでわのトラブルが頻発する。でも、半年後も同じ状況ですか?というと、そうでもなくなってきますよね。

自分の中の「育休復帰混乱期」が終息する頃に、仕事の内容やボリュームを見直す機会が得られるのは、育休復帰後のパパママにとって、すごく良いことですね!

逆に、このタイミングでのチューニングが上手に行われないと、従業員の方の「働き甲斐」が急激に冷え込んで行き、「子どもを預けてまでする仕事か?」という疑問の先に、離職・・・という残念ケースも少なくないですから。

サイボウズ社の、「アサインや出勤日数などが適宜柔軟に変更できる制度」は最強です。しかし、制度がサイボウズ社レベルまで追いつかなくとも、日々の上司との1on1のようなコミュニケーションの中で、自分の全体性(ホールネス)を持ち込みやすい風土になっているのも有効でしょう。

やりたいことがある程度見えている方であれば、プロジェクトワーク型の企業に参画してみるのも良いかもしれません。

「社員の幸せ」に目を向ける企業が、今後もどんどん増えてくると思います。しかし一方で、企業のおもてなしが自分に合うかどうかは分かりませんから、やはりそこには、自分自身の探求が必要でしょう。

【Molecule(マレキュール)】読者の皆様にも、ぜひいろんな事例に触れることで、自分自身の視野を広げなら、「自分にぴったりな働き方・働き甲斐」を模索し続けていただきたいと願います。簡単には見つからないかもしれませんが、探求し続けることが一番の近道かもしれません。

やつづかえりさんの著書「本気で社員を幸せにする会社」の詳細はこちら